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歯科用インプラントについて1

歯科用インプラントについて1

歯が痛くなったとき、皆さんはどうしますか? そんな時には、もちろん歯科医院に行って診察してもらい治療を行います。こんなごく普通と思われることが、一昔前は全く事情が異なっていたのです。今では信じられないようなことですが、歯が痛いときの処置法はたった一つ、それは誰もが避けたいと思う「抜歯」。

昔は、まだ20代の若者でも、歯がボロボロだったり、抜歯をしたせいで「すきっ歯」の状態になっていることが多かったのです。現在でも、状況によっては抜歯をすることもありますが、咀嚼(そしゃく)効率や歯並びの安定性を考慮して、歯が抜けたままにしておくことはほとんどありません。

例えば1本の歯が抜けたとき、その対処方法は、①ブリッジ、②部分入れ歯、③歯を移動して隙間を閉じる、④歯科用インプラント治療の4種類です。

日本で一番普及している方法の「ブリッジ」は、比較的簡単にできる処置法として古くから行われ、現在でも多く使用されています。しかし欠点として、歯が抜けた両隣の歯を(健康な歯でも)削らなければならないこと、そして抜けた歯の部分にかかる圧を隣の歯が担うことになるため、その歯の寿命が短くなる可能性が高いことです。

ブリッジ
ブリッジ

「部分入れ歯」は簡単に作製できるのですが、安定性や審美性に問題があり、取り外し式なので患者さんにとって煩雑(はんざつ)なため、一本だけの欠損歯で使われることはそれほど多くありません。

次に「歯を移動して隙間を閉じる」方法ですが、そのためには歯科矯正装置が使われます。人工物によって歯を補う「補綴(ほてつ)」ではなく自分の歯で隙間を閉じるため、これがベストな方法と思われがちですが、実は一番リスクが高い方法です。というのも、一カ所の隙間を閉じるために歯を動かすと、歯列弓全体の形態がゆがむため、もともとしっかりかみ合っていた部分にもズレが生じてしまうからです。せっかく隙間が閉じたのに、それが原因でかめなくなってしまっては本末転倒です。

そこで、この問題を解決するために開発されたのが「歯科用インプラント」。これは抜けた歯の部分にチタン製の人工歯根を埋め、その上部にクラウンを被せて天然の歯と同じ機能を持たせる技術です。歯科用インプラントはブリッジや矯正のように周りの歯にほとんど影響を与えないため、かみ合わせを再構築するには最も安定性の高い方法と考えられています。一方で、専門の歯科医師による手術が必要であること、治療期間が長いこと、また骨の状況(骨の形や量が足りない)によってはインプラントが使用できないことなどが欠点に挙げられます。

インプラント治療は、比較的新しい技術の一つですが、そのアイデア自体は古くからありました。実際に、紀元前の古代ローマ人の顎に鉄製のインプラントが埋まった顎骨が発見されており、すでにこの時代からインプラント治療が試みられていたことが分かっています。また、7世紀のマヤ文明の遺跡で発掘された20代女性の下顎骨に、なんと天然歯と貝でできたインプラントが埋まっていました。これをエックス線で調べると、インプラントの周りに骨が造成されていたり、歯石が付着していたことから、比較的長く口腔内で機能していたと考えられています。

インプラント
インプラント

今でこそインプラント治療は多くの人に認知されている技術ですが、実は日本での普及は医療先進国の中では遅い方。一般的になってきたのはこの十数年です。一方、ドイツではすでに30年前からブリッジに代わる治療方法として浸透していました。

この日独における差は、歯科用インプラント技術が欧州(スウェーデン)発であることと、日本人は「手術をして顎に人工物を埋める」ということに精神的な抵抗感があったためと考えられます。

最終更新 Montag, 18 Juli 2016 12:08  
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