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Mo. 23. Apr. 2018

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

海外旅行と保険についての話 2

前回のコラムでは、海外旅行保険には意外にも適用外の病気やケガが多くあることをお伝えしました。

旅行者の中には、心臓病や糖尿病などの慢性疾患を持っているものの、経口薬でコントロールして海外旅行を楽しんでいる人も少なくありません。しかし、長時間にわたるフライトや日本とまったく異なる気候、食事、また過密なスケージュールのために体調を崩して治療が必要になることがあります。

ところが、その体調不良が持病から来るものであれば、治療費は保険から還付されずに多額の自己負担を強いられることになります(海外旅行保険は持病があると加入ができない、または制約があることが多いです)。

そこで、旅行や出張のための渡航者の急な病気やケガをサポートするためにできたのが「海外療養費制度」。海外療養費制度は1981年に初めて社会保険で施行され、国民健康保険では2001年から始まった比較的新しい制度で、渡航中にやむを得ず海外の医療機関で治療を受けた際に、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるものです。

ただし、どのような治療でも給付金が出るわけではなく、あくまでも対象となるのは「日本国内で保険診療として認められている医療行為」に限られています。そのため、日本の保険で認可されてない治療法や薬剤を使用した治療、例えば美容整形や歯科用インプラントなど、日本でも保険適用外のものは給付の対象になりません。日本で保険診療を受けると自己負担3割・健康保険負担7割が基本ですが、海外療養費も同様に、給付されるのは「本来健康保険によって支払われるはずの7割分」になります(詳細は各種健康保険のホームページを参照)。

さて、歯科治療でこの海外療養費を使う場面もありますが、この制度を利用する際にはいくつかの留意点があります。例えば海外で一つ新しいクラウンを作り、その際にかかった治療費が20万円とします。「20万円の7割だから、14万円が戻ってくる」かというと、残念ながらそうではありません。

日本で保険診療内で治療可能なクラウンは安価な材料で作られており、また保険制度によって治療費が安く抑えられていることもあって約1万円という価格。日本でこの治療を行うと、自己負担が3000円で健康保険が負担する分が7000円ですが、海外療養費で給付される金額は、いくら高い治療費であろうと「あくまでも保険診療費が基準」なので7000円。さらに、海外療養費申請には現地の担当医に診療内容証明書の記入してもらう必要があるのですが、一般的にこの発行手数料が2000円程度かかります。そうなると、7000円の給付金申請のために2000円の手数料が発生するため、手元に残るのは5000円ということになります。

この診療内容証明書は、月が替わるごとに新しい書類が必要になるため、月をまたいで治療が行われる時には書類が2枚となって発行料も2倍になります。それでも手元に給付金が残れば良いのですが、治療によっては海外療養費を申請したほうが赤字になってしまうこともあり得るわけです。

よく「海外の歯科治療費は高すぎる」といわれますが、実は先進諸国と比較すると「日本の(保険)歯科治療費は低すぎる」というのが実情(詳細は当コラム1036号1038号を参照)。そのため、全般的に保険診療費が低く抑えられている歯科治療に関しては、海外療養費を申請してもその労力に見合わないケースが多く注意が必要です。

 
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