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Mi. 19. Dez. 2018

ドイツ歯科事情

ドイツの歯科治療の話になると、「すぐに歯を抜こうとするから行きたくない」「ドイツ人の大きな手で歯を治療されるのは嫌だ」「全身麻酔をすることもあるから怖い」と、事実かどうかは別として、ネガティブなイメージが先行しがちです。しかし、日独どちらも世界に誇る先進国。医療の基本は同じはずなのに、なぜこんなにも認識に差があるのでしょう。当コラムでは、実際の日本とドイツの歯科治療の違いや、国民性や社会的背景も踏まえてお伝えいたします。

歯科医師 宮川順充
1971年札幌生まれ。95年歯科医師資格、2003~07年オーストリア・ドナウ大学院大学の講師およびルドルフィナーハウス病院内歯科医院(ウィーン)勤務。08年歯科医療技術インスティテュート IDEA(カリフォルニア)顎機能矯正学部門講師。09~13年ランドハウス歯科医院勤務。14年より同院の経営パートナー。 www.landhausstrasse.com

ドイツに関わる周辺諸国の歯科事情①

初めてドイツで歯科治療を受けたとき、日本の歯科治療の進め方や医療システムの違いに戸惑った経験をした人も多いことでしょう。もちろん日本とドイツでは文化、習慣、歴史的背景などが異なるため、医療制度に違いがあったとしても仕方がないと納得できます。ところが、欧州内であれば歯科医療も似たようなものかというと、そうではありません。国によって歯科医療事情は驚くほど多様なのです。

日本と比較すると高額なドイツの歯科医療費ですが、治療費に悩んでいるのは日本人に限らず、ドイツ人もその金額に頭を抱えている人が少なくありません。ドイツの歯科医療制度は日本と異なり、保険診療では足りない分を自由診療費で賄う混合診療が基本になっています。そのため、基本となる保険診療費はドイツ全国一律ですが、そこに加算される自由診療費用はその医療機関の裁量(技術や地域性など)によって左右されます。そのため、一般的に旧東ドイツ地域のほうが歯科医療費が低い傾向にあり、治療のためにわざわざ遠方まで足を運ぶ人も多いのです。しかし、「それでも高すぎて払えない!」という場合には、さらに歯科治療費を抑えることができる裏技(?)があります。それはドイツ国境を越え、貨幣価値や物価の低い外国で治療を受けるというもの。

特に東欧ポーランドのドイツ国境に近い地域では、低価格の歯科治療費を希望するドイツ人を対象に歯科診療を行っている歯科医院が多数あります。インターネットのHPでもドイツ語による案内があるのはもちろんのこと、ドイツ語ができる歯科医師やスタッフによってドイツと似たような環境で治療を受けることができます。ただし、医療技術に関しては残念ながら「安かろう、悪かろう」が当てはまるケースも多くあるため、歯科治療の結果は自己責任。

また、オーストリアも歯科治療費はドイツとほぼ同じで、やはり安い歯科治療費を求めて多くの人が隣国のハンガリーで治療を受けています。オーストリアの首都、ウィーンから車で1時間ほど走りハンガリー側に入ると、ショプロンという人口6万人弱の町があるのですが、この小さな町になんと約300もの歯科診療所があるのです。中にはウィーンから診療所までの無料シャトルバスで運行しているところもあり、歯科ビジネスの競争の激しさは世界で有数と言われています。しかしその一方で、患者獲得のため多くのサービスを提供するあまり、結果的に治療費が高くなって、オーストリアで治療する価格とそれほど変わらなくなってしまったという本末転倒な話も。

さて、歯科治療費がとても高い印象の強いドイツですが、それを超える高額治療費なのがスイス。もちろんスイスは物価が高いことで有名ですが、特に歯科医療は保険が効かないため歯科治療費はこの上なく高額で(すべてが自由診療)、ちょっとした応急処置で数万円、親知らずの抜歯1本で15万円ほどかかることも。そのため、ドイツ人やオーストリア人がポーランドやハンガリーに行くのと同様、多くのスイス人が「歯科治療費が安いドイツ」で歯科治療を受けています。ドイツの歯科医療レベルはスイスとほぼ同じで、また医療制度もしっかりしているため人気があるようです。

欧州間でも異なる歯科の治療費。高額な費用を抑えるために国をまたいで治療する人も
欧州間でも異なる歯科の治療費。
高額な費用を抑えるために国をまたいで治療する人も

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