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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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103ドイツの住宅はもう高すぎる?

老後に備えて家を買う? 買わない?

将来の備えとして気になるのは、受給できる年金額とともに、住居を購入するかどうかという問題です。老後の期間はおよそ20~30年。その間も家賃を払い続けるのか、それとも老後は家賃から解放されるかでは大きな違いです。

将来は違う家に住む場合、売却ももちろん可能です。日本のように30年経ったマンションの上物は価値がなくなることはなく、地震で建物が傷むようなリスクも低いので、ドイツでの不動産購入はより価値があると思います。労働収入に対しては給与明細にあるように課税され、証券の売却益に対しては26.375%課税されますが、自宅の売却や購入後10年経っている不動産の売却益は非課税です。

ここ10年で住宅価格が急上昇

とはいえ、都市によってはすでに不動産価格が高騰して、自分の希望するような住宅には手が届かないこともあります。住宅価格が上昇する理由の一つは、リーマン・ショック以降、低利子が続いていることです。住宅ローン利率は90年代には8%あったこともありますが、2000年代には5%を切り、現在は10年固定の利率は1%未満に。年利8%だと10万ユーロ当たり、利払いだけで年間8000ユーロにもなるわけですが、1%なら1000ユーロになります。利払いが減れば、同じ収入でもより高い不動産を購入できるのです。それに加えてドイツの人口は移民を含めると微増しており、特に都市人口は増加してきたので需要も増えました。

それによりこの10年ではドイツの不動産価格はおよそ1.7倍に、都市部ではさらに大きく値上がり、ミュンヘンでは約2.5倍、ベルリンでは3倍近くになっているところもあります。現在は大きな都市の周辺都市や、旧東ドイツの一部の都市で人口流入があり、そのような都市ではさらに住宅価格は上がるかもしれません。

住宅購入して賃貸に住むのがお得

住みたいと思う住宅に手が届かないからといって、諦める必要はありません。住宅購入というと自分の住む家を買うことだと思うかもしれませんが、経済合理的にはむしろ借家に済み、所有物件を貸したほうが得といえます。自分の住居の修繕費や必要経費は税金控除できませんが、借家の修理は大家さんが払ってくれますし、賃貸し物件の費用は税金控除できるからです。

サラリーマンのステータスだけでは年金保険以外ではあまり節税はできませんが、大家さんというビジネスオーナーのようなステータスがあれば、その経費は所得税を控除できます。自分の住む家ではないので、子どもの人数や自分のニーズにとらわれず、ある程度立地のいい1~2部屋の住居でOK。そのほうが景気にかかわらず、貸しやすいといえます。学生街であれば学生に便利な物件もいいでしょう。老後に自分が住んでも、住まなくても構いません。

不動産購入の目的が老後の家賃をなくすことであれば、家賃収入を得て、ほかのところを借りて住むのも同じことです。自分の所有する家に住みたいと思うかもしれませんが、それはもしかしたら「夢のマイホーム」のようなキャッチコピーにとらわれているだけかもしれません。借家でもキッチンは自分で選んで入れたり、壁の色は好きな色に塗れますし、なんなら子どもが増えたら壁を造って部屋を分割することもできます。

賃貸物件に住むと、大家の都合によっては出ていかなければならないことも。しかし、今住みたいと思う住居を購入できないのであれば、ローン返済期間が十分にあるうちにどこか物件を購入するのはありだと思います。

 
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