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意識改革から始める資産運用

ドイツでお金と上手に付き合う方法

山片 重嘉山片 重嘉 (やまかたしげよし)
ファイナンシャルアドバイザー

1970年生まれ。98年に渡独、文化交流や持続可能農業のプロジェクトに携わる。また、食と健康のアドバイザーとして講演活動などに勤しむ。その後、ファイナンシャルアドバイザーとして独立。個人・法人へのアドバイスを行っている。人生のテーマは、健康とお金を切り口に、豊かな生き方について考えること。

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72 基礎保障年金(Grundrente)について

現在、ドイツで大きな議論となっているのが、2019年の夏にも導入が予定されている、基礎保障年金(Grundrente)についてです。

Grundrenteとは?

これは、最低35年間の法定年金を積み立ててきた人が、今よりも多くの年金を受給できるようにする制度。積み立ての年数には、フルタイムの仕事だけでなくパートタイマーとして働いた年数、子育てや介護をした年数も含めることができます。

35年間以上積み立てても年金受給額が896ユーロ以下の場合、月に最高447ユーロの追加受給を受けることができるとしています。

Grundrente構想の背景

短期間のみの積み立て、あるいは全く年金積み立てをすることができず、受給が可能な年齢になっても生活に必要な収入が得られない場合は、基礎保障(Grundsicherung)という生活保障制度に申請し、生活に必要なお金を受給することができます。

実は何十年も働いて少しずつ年金を積み立ててきても、この基礎保障によって得られる受給額よりも少ない年金しか受け取れない場合があります。長年、真面目に働いた人よりも、仕事をしないで年金も納めなかった人の方が多く年金をもらえるとなると公平さを欠くということで、この制度が検討されています。

導入されれば、基礎保障年金の受給資格者への平均受給額は月額およそ880ユーロになり、これは現在基礎補償によって保障されている平均受給額の約800ユーロを上回ることになります(働いても働かなくても、80ユーロしか変わらないなら、働かないという選択をする人も出てくるかもしれませんが……)。

Grundrenteをめぐる議論

基礎保障年金の受給資格者の条件は、社会民主党(SPD)による構想では、「労働による年金積み立て期間が35年以上であること」と「年金受給額が896ユーロ以下」の2つのみで、これらに該当する人々はおよそ3万人となります。彼らへの追加受給の総額は年間50億ユーロが想定されていますが、この膨大な予算についてはともに大連立政権を組んでいるキリスト教民主同盟(CDU)・キリスト教社会同盟(CSU)、一部のSPDに所属している政治家は納得しておらず、受給資格者の条件をもっと厳格に設けるべきだと主張しています。

Grundrenteは日本人も対象?

実際に法案が可決しないとはっきりとしたことは分かりませんが、現行の日独社会保障協定の基準で年金加入年数が計算されるとすれば、ドイツで35年間年金を納めた場合、またはそれ未満であっても、日本での滞在期間を合算対象期間(カラ期間)として合算して35年を超えれば、この制度の対象となりえます。

フベルトゥス・ハイル連邦労働相(SPD)は、今年の夏にはこの新しい年金制度を導入したいと考えていますが、予算や受給資格者の条件をめぐっては、いまだに結論が出ていない状態です。今後この議論がどのように進展し、この新しい年金制度がどのような形で法律化されるのか、目が離せません。

われわれのような在留外国人にとっても、制度の行方が気になるところです。

 
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