CSUがZDFに影響力行使の試み?
同党のシュトレップ広報官が辞任
キリスト教社会同盟(CSU)のシュトレップ広報官が、公共放送ZDFの報道に対して影響力を行使しようとした疑惑が浮上し、波紋を呼んでいる。これを受け、同広報官は10月25日に辞任した。ヴェルト紙が伝えた。
同広報官は10月21日にZDFのニュース番組「heute」の編集部に電話をかけ、「社会民主党(SPD)のバイエルン州党大会の様子を公共放送ARDやPhoenixなど、他局が放送しないことをご存知か」などと尋ねた上で、ZDFだけが放送することについて、配慮するよう求めたという。同党の大会には、来年のバイエルン州議会選挙でゼーホーファー現首相 (CSU)の対抗馬となるミュンヘン市のウーデ市長(SPD)が参加していた。
「heute」編集部は、シュトレップ広報官の電話について、「明らかな影響力行使の意図があった」と述べている。シュトレップ氏はZDFの編集局長に対し、「そのような印象を与えたことは申し訳ない」と釈明を行なった。しかしその後、騒ぎが広がったことを受けて、「これ以上、任務を続けることが困難になった」としてゼーホーファー党首に辞表を提出し、受理された。
シュトレップ氏は元検事および判事だった経歴を持ち、シュトイバー氏がCSU党首だった2006年に同党の広報官に就任。近年では特に事務局長に仕える広報官として活躍し、CSU内部をよく知る人物とされていた。
今回の件についてCSUのゼーホーファー党首やドブリント幹事長は、「シュトレップ氏が独自の判断で行なったこと」と述べているが、バイエルン州議会内のSPDおよび緑の党からは、CSUの党幹部が深く関わっていたとの指摘が上がっており、同件の真相解明を求める声が強まっている。また、与党・自由民主党(FDP)のニーベル連邦開発相は、ツァイト紙電子版上で「南ドイツには開発途上国のような州がある。彼らは報道の自由に対する敬意を持たない」などと批判している。
一方で、2011年にバイエルン州のゼーダー財相(CSU)の広報官がバイエルン放送(BR)のあるテレビ番組に対してクレームをつけ、その後その番組が再放送されなかったことなども、新たに発覚している。