オバマ米大統領が、ベルリン訪問
ブランデンブルク門前で演説
オバマ米大統領が6月19日、ドイツの首都ベルリンを訪問し、ブランデンブルク門前で「核なき世界」の実現に向けた「核兵器削減案」を表明する演説を行った。また、オバマ氏はメルケル首相と会談を行い、アフガニスタン、シリア問題および先頃発覚した米国家安全保障局(NSA)による諜報活動「プリズム」計画などについて話し合った。ヴェルト紙が伝えた。
今回、オバマ氏は6月18日に北アイルランドで開催された主要国首脳会議(G8)会合の帰途でベルリンに立ち寄り、米大統領専用機エアフォース・ワンでミシェル夫人、長女のマリアさん、次女のサーシャさんを伴ってベルリン・テーゲル空港に降り立った。オバマ氏がベルリンを訪れたのは、大統領選挙キャンペーンの真っ最中だった2008年以来、5年ぶり。また、今年6月26日は折りしもジョン・F・ケネディ元米大統領が「ベルリンの壁」を前に、「私は1人のベルリン市民だ」のフレーズで知られる名演説を行ってから50年目という時期に当たっていた。
オバマ氏は、ブランデンブルク門前の旧東ベルリン側に当たるパリ広場で演説を行い、その中で核なき世界の実現に向けた具体的な「核兵器削減案」を表明。米国の戦略核弾頭の配備数を従来の合意からさらに3分の1減らすことなどについて触れ、同様の措置をロシア側にも呼び掛けた。また、ベルリンの壁とドイツ統一の歴史を振り返り、「人権に対する闘いは続く」として「ドイツに神のご加護があるように」と述べた。オバマ氏は、大統領就任から間もない2009年に「核なき世界」をビジョンに掲げる演説を行い、これによって同年のノーベル平和賞を受賞している。
この日のベルリンは気温30度を超える夏日で、同氏は演説の際に上着を脱いでワイシャツ姿となり、「友人同士の間で堅苦しくする必要はない。どうか皆さんもそうしてください」と語った。
一方で、オバマ米大統領の今回の訪問に際し、NSAの「プリズム」計画についての解明を求める声や、アフガニスタンやイラクで拘束したテロ容疑者を収容するグアンタナモ米軍基地の収容所の存在を批判する人々が、ブランデンブルク門周辺でデモを行う光景も見られた。