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ロンドンのゲストハウス
Di. 22. Okt. 2019

世界を動かすビジネスリーダーに聞く!ドイツ発グローバル時代を生き抜くチカラ

海外進出が、大企業だけではなく、中小企業や個人にとっても必要不可欠な選択肢となっている時代。欧州の中心部に位置する地の利を活かして、ドイツを活躍の拠点としているビジネスパーソンが見いだした海外での挑戦の意義や魅力とは?


第19回

異国の地で梅酒文化を根付かせる
CHOYA Umeshu GmbH ゼネラルマネージャー

CHOYA Umeshu GmbH ゼネラルマネージャー鈴木謙介氏
Suzuki Kensuke

プロフィール


食品業界を経て、チョーヤ梅酒株式会社に就職。本社では購買、製造計画、商品企画などを担当し、2017年6月、デュッセルドルフに事務所を構えるCHOYA Umeshu GmbH に駐在員として着任した。同社には鈴木さんを含む6名が勤務。 www.choya.com

日本のお酒をたしなむ人であれば、梅酒と聞けば、香り高い梅の味が口の中にじゅわっと広がることだろう。しかし、ドイツでは日本の梅の味を想像できる人はそう多くはない。そんなドイツの人にとって「未知の味」をこの地にもたらしたのが、チョーヤ梅酒株式会社の現地法人CHOYA Umeshu GmbHだ。現在では欧州各地でチョーヤの梅酒を楽しめるが、その成功の裏には梅酒ならではの苦労談も。同社のゼネラルマネージャーを務める鈴木謙介氏に話を聞いた。

市場に可能性を見出すチカラ

チョーヤ梅酒株式会社(以下、チョーヤ)がドイツに初めて駐在事務所を置いたのは1989年のこと。「当時の話をいろいろと聞いていますが、最初は地道に手売りをしていたそうです。その結果、1989年に5億円ほどの売上があり、その利益を現地に還元するということで、翌年現地法人化に至りました」

事務所を開設してまもなく現地生産も開始し、少しずつ欧州市場を拡大させていった。ところが、しばらく日本人駐在員が不在の時期が続いたという。「あるとき、本社とドイツ事務所の間にある考え方の隔たりを調整する人間が必要だということになって、2015年から年に数回、ドイツへ出張するようになりました。本社では、社内業務や商品開発の業務を一通りこなしていたので、そういった経験がドイツ事務所の改善に役立ったと感じています」

そうして何度もドイツを行き来するうちに、鈴木さんの頭の中に、あるアイデアが浮かぶ。「もう少し頑張れば、伸ばせる市場なのではないかと思うようになって。そこで今度は駐在員として勤務できないか、自分から会社に掛け合うことにしました」

地の利を活かすチカラ

2017年6月に、晴れて駐在員となった鈴木さん。早速、あるプロジェクトに着手することになった。「欧州におけるお酒の文化は多種多様で、長い歴史があります。それと日本の文化を融合させた、新しい梅酒を現地の方に楽しんでもらいたい。渡独前にそう宣言したものですから、最初の1年で何か成果を出さなければ、と。そう思って始めたのが、スパークリングワインの開発でした」

今でこそチョーヤは梅酒専門の企業だが、もともとはワインのメーカー。1960年代には、日本でスパークリングワインを販売していたこともあったそう。「チョーヤの経験と梅酒を掛け合わせた商品ができないか、というのがアイデアの始まりでした。当初は、梅の果汁とワインを混ぜて炭酸を入れたらできると思っていたのですが、もちろんそんなに単純なものではなくて(笑)。ワインって意外と味が強くて、梅の味が負けてしまうんです。そこで、日本の研究開発部門に特別な梅の果汁を造ってもらうことに。ワインの種類によっても味が変わるので、ワインの経験や知識のある委託工場の技術者の協力は必須だった一方で、本社の技術者はチョーヤの味をよく理解しているため、譲れない部分もあり、試行錯誤の日々が続きました」

そうして約1年をかけて完成したのが、CHOYA Original Sparkling。梅の味がしっかりと感じられ、梅酒のソーダ割りとは違うきめ細やかな泡が特徴だ。

「もともと欧州ではワインベースの梅酒商品も出していたので、梅に馴染みのない方にはまずはそれで梅の味を知っていただき、その後で本物の日本の梅酒を試してもらうような流れをつくっていました。スパークリングは、さらなる選択肢の1つになったのではないかと思います。今では日本を含むアジアや米国にも輸出。今後も改良を続けつつ、弊社の商品として根付かせていきたいですね」

地道に文化を根付かせるチカラ

本格梅酒も販売用に日本から輸入
厳選された梅果汁から梅酒ワインを現地製造しているほか、
本格梅酒も販売用に日本から輸入している

新商品開発が成功し、順風満帆なように見えるが、梅酒を取り扱う企業ならではの悩みもあるようだ。「例えば試飲ブースで、ビールやワインと違い、『これって何だろう?』と思ってもらうことがわれわれのスタート。そこで梅酒の説明をするのですが、30年やっていてもなかなか難しく……。梅酒はドイツ語で『Pflaumenwein』と訳されますが、日本の梅とPflaume(セイヨウスモモ)は別物。試飲中にその違いを説明するのは至難の業で、弊社スタッフもあきらめてしまうほど。そこで、最近はチョーヤというブランドを売っていく路線に変更することに。試飲でチョーヤの味を知ってもらい、背景には日本の伝統的な食文化があり、選りすぐりの原料で家庭でつくるような梅酒を製造していると説明します。時間がかかりますが、地道に伝えていくことが大切だと思っています」

日本の梅酒文化を背負う鈴木さんの姿は、まるで文化大使。いつかスーパーで気軽にチョーヤを購入できるようにしたい、と鈴木さん。1つの文化を異国の地に根付かせるまで、鈴木さんの挑戦はこれからも続く。

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