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小さな保養地バート・ドリーブルク

ハノーファーに住んでいるとニーダーザクセン州の観光案内ばかり目に付きますが、ハルツ地方に出かけるのと同じぐらいの所要時間で隣の州にも出かけることができます。今回、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州のバート・ドリーブルク(Bad Driburg)に遊びに行ってきました。

人口1万9000人の小さな街ですが、温泉が湧き出る保養地として知られ、病院や保養施設が複数あります。街は盆地のような地形で、小高い山に囲まれています。 峰沿い18キロにわたってぐるりと散策道が整備されており、好きなところから登って、降りることができます。

18世紀のたたずまいを残す伯爵苑18世紀のたたずまいを残す伯爵苑

特に有名なのは、伯爵苑(GräflicherPark)と呼ばれる庭園です。64ヘクタールの広さを誇る庭園は1782年に伯爵一家によって造られ、自然の泥炭と湧き水によって貴族の保養地として知られてきました。現在も伯爵の末裔(まつえい)が所有し、街と提携して維持されています。

ここでは80万もの植物が育ち、歴史的な庭園と建造物が当時の趣を伝えています。 庭園の中心に位置する建物では、毎日ヴァイオリンとピアノの生演奏が楽しめ、また3種類の湧き水を味わうことができます。春の訪れとともに水仙やチューリップが咲き、バラ園では色とりどりのバラを愛でる人々の姿も。植物で造った迷路をはじめ、健康を重視した四つ星ホテルや高級レストランがあるほか、庭園に隣接してゴルフ場や温泉プールがあるなど総合的なリゾート地として親しまれています。

私ものんびり散歩しましたが、街の喧騒から離れ、美しい景色を満喫しました。生演奏を聴く人はまばらで、客が音楽について意見を言ったり、リクエストをしたりするなど和気あいあいとした雰囲気でした。

高さ40メートルのエクステルンシュタイネ高さ40メートルのエクステルンシュタイネ

また、ここから20キロほど北に行ったホルン=バート・マインベルクにはエクステルンシュタイネ(Externsteine)と呼ばれる岩があり、観光名所となっています。40メートルの高さの岩は、長い年月をかけて雨風によって独自の形を成しています。インフォメーションセンターでは岩の成り立ちと人間との関係が展示されており、中世に礼拝堂が造られるなど人々から長年崇拝されてきたことが分かりました。岩に刻まれた細い階段を登ると、森を見下ろすことができ、自然の豊かさを感じます。

ほかにもニーダーザクセン州とNRW州の境目辺りには、いろいろな名所があるのだと気付きました。ユネスコ世界遺産の修道院コルヴァイ(UNESCOWeltkulturerbe Schloss Corvey)やウェーザー川が望める見晴台(Weser Skywalk)にもそのうち出かけたいと思っています。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。
 
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