instagram Facebookツイッター
JAL
Do. 17. Jan. 2019

アダムとイブと私たち!インターセックスを考える

「LGBTI」という言葉を耳にする機会が増えてきました。レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの頭文字に加えて、インターセックスという概念を加えたものです。今回は、インターセックスを自認する人々が製作した演劇についてお届けしたいと思います。

ひんやりとした風に首を縮こませながら、ヒルデスハイムの劇場(Theaterhaus Hildesheim)に向かうと、入り口に並ぶ若者たちの姿が目に入りました。本日の演目は「アダムとイブと私~インターセックスな人たちの史伝」。舞台はプールの更衣室。カーテン越しに6人の演者が、人前で服を脱ぐときに感じたことを語り出します。私たちは、当然のように性別を男性と女性の二つしかないと考えがちですが、その二つの分類では捉えきれない存在があることに気づかされます。ホルモン、染色体、生殖器など、さまざまなレベルで分けていくと、人の性別は二つではなく、4000以上に分類できるという学説が唱えられていると聞いて驚きました。トランスジェンダーとインターセックスという概念は混合されがちですが、インターセックスを自認する人は、男性と女性の両方の性的特性を持った存在と言うことができるかもしれません。

印象的だったのは、幼少期に受けた手術を語るシーンです。親や医者は良かれと思い、片方の生殖器を摘出することを選択しますが、その決断は子どものアイデンティティーに深い混乱をもたらす可能性があります。従って、マルタでは当事者の同意なしの手術が法的に禁止されていますし、ドイツでは2018年から男性と女性に加えて、第三の選択肢として「Divers(多様な性)」を選べることになり、当事者の人々の運動のおかげで少しずつ社会に認知されてきています。

幼少期に受けた手術について語る場面
幼少期に受けた手術について語る場面

劇の終盤で「観客の中で服を脱ぐ人がいれば一緒に服を脱ぐ」と、舞台の演者が呼びかける場面があります。スポットライトを浴びて、観客に裸をさらすことに躊躇しながらも、筆者が名乗り出ました。今後この舞台を鑑賞する人のために、その先どう展開していくかはあえて書きませんが、私の認識を変える経験となりました。 

この演劇はこれまで20回以上、各地で上映されてきました。シリアスなテーマを扱いながらもユーモアを交えることを忘れておらず、ぜひ鑑賞をおすすめしたいのですが、演者の時間調整が難しいため、次回公演の詳細は決まっていません。

演者の1人のザントラオ(Sandrao)さんは、「誰の周りにも、1人はインターセックスの人がいるだろうが、そのことに気がついていないだけ」と語ります。自身の存在をかけて、社会を変えていこうとする勇気に、胸を打たれた一幕でした。

ダンスシーン
ダンスシーン

インターセックスのシンボル
インターセックスのシンボル

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Japan Airlines HIS ツアー 2019年カレンダー販売

日本タウン誌・フリーペーパー大賞で英国ニュースダイジェストが受賞いたしました!
ロンドンのゲストハウス