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修道院の街、フュルステンフェルトブルック

フュルステンフェルトブルック(Fürstenfeldbruck)はミュンヘン大都市圏を構成する地域の1つで、中央駅からSバーンで約20分と好立地なため、市内に通勤する人々の住宅地としても人気です。見どころとして、街の郊外にある同名のシトー派修道院が有名です。また、街中を流れるアンパー川(Amper)の周辺は、散策道が整備され豊かな自然を満喫することができます。今回は、郊外散策にぴったりなこの街をご紹介しましょう。

落ち着いた佇まいの、修道院の中庭。レストランもあります落ち着いた佇まいの、修道院の中庭。レストランもあります

ミュンヘン西端の駅 Pasing を出発したSバーンの車窓には、間もなく、緑豊かな景色が広がり始めます。春の象徴である菜の花畑の黄色が、美しいコントラストを与えています。今回は、フュルステンフェルトブルックの駅から少し離れた街の中心部に行ってみました。こぢんまりとした地区に、かわいらしい庁舎やカラフルな建物で構成されたドイツらしい街並みで、街外れを流れるアンパー川が風景にアクセントを添えています。駅から西へ歩くと、ほどなく視界がひらけて、この街のメインの見どころである修道院の姿が見えてきます。13世紀に建立された修道院は長くバイエルン王家の下にありましたが、18世紀の修道院権限の抑制、それに続く世俗化の流れを経て、19世紀初頭には所有権が一般市民へと移った時期もありました。再び王家に買い戻された後は、軍隊の施設として、また病院としての機能を備えるようにもなりました。現在、敷地内にバイエルン州警察学校が設置されているのは、そのような背景からでしょう。また、ここが各種催し物の会場として、地域の文化センターとしての機能を担うようになったのも、公共的な施設として利用されてきた歴史によるものかもしれません。

年間を通じて、美しい修道院の建物と庭園を活用したコンサートや講演会など多彩なプログラムが提供されています。ここ数年春に開催されているアニメとマンガ、ゲームの祭典にはドイツのコスプレファンが集い、ファンタジー豊かな情景が繰り広げられます。また、6月7〜10日には、植物とガーデニング用品の大規模な展示即売会である、毎年恒例のGartentageが開催。8日(土)の夜は「イタリアの夜」と銘打ち音楽や花火のショーも行われるので、ガーデニングファンに限らず、初夏のひとときを楽しむにはもってこいです。

アンパー川流域は、自然味溢れる景観が魅力アンパー川流域は、自然味溢れる景観が魅力

修道院からアンパー川の上流に向かっては、アンパーアウエ(Amperaue)と呼ばれる豊かな緑地帯が広がります。縦の距離が約4km、185ヘクタールの広さがあるこの場所は、遊歩道やサイクリングロードが整備されている憩いの場所であると同時に、貴重な動植物を守るための試みもなされています。絶滅危惧種とされる植物や希少な昆虫種などが生息し、タカやハヤブサ、フクロウなどを見ることも可能です。自然に配慮しつつ、野趣に富んだ美しさを堪能できる貴重なスポットですね。

Yoshie Utsumi
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。

 
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