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森そのものが博物館!Baumwipfelpfad

ドイツを代表する詩人ハイネも歌った「奇跡のように美しい5月」(Im wunderschönen Monat Mai)。新緑が太陽の光を浴びてキラキラと輝く森の中、鳥たちのさえずりと葉が風に揺れる音に耳を傾けながら歩けば、「ドイツの5月が最高に美しく、心に恋が芽生えてしまう」とハイネの紡いだ言葉が当然のことのように思えてきます。そんなうるわしい季節を満喫するのに最高な、リューゲン島にあるレジャー施設「Baumwipfelpfad」をご紹介します。

リューゲン島はバルト海に浮かぶドイツ最大の島。ドイツ国内では夏の人気休暇先の一つで、ブナの森と石灰質の白亜の崖でユネスコの世界自然遺産にも登録されているヤスムント国立公園や、ナチスの負の遺産であるプローラの巨大建築群も有名です。

ブナの木をぐるりと囲むループ橋ブナの木をぐるりと囲むループ橋

さて、まずは名前を覚えましょう。私はこの施設名が全然覚えられず2年ほど「ばうむゔぃっぺゔぃっぺ!」なんて言ってましたが、分解すればなんてことないです。Baum(バウム、木)・Wipfel(ヴィプフェル、頂上)・Pfad(プファート、小道)、さあ全てつなげて「バウムヴィプフェルプファート!」。「木の上の小道」という文字通り、木で生活する昆虫、鳥、動物の目線で森を歩くことができるのです。

入場ゲートをくぐると木製の小さな塔があり、らせん状のループ橋をぐるぐると上がっていきます。地上4〜17メートルの高さの遊歩道は全長約1.2キロに及び、ベビーカーや車椅子なども通りやすい道幅。時折アスレチック要素のある遊具が散策道に並行して設置されており、子どもたちにも大人気です。

かなりの高さから森を楽しめますかなりの高さから森を楽しめます

また途中には、ブナの森に関する展示も盛りだくさん。例えば、葉の形と木全体のシルエットを合わせるゲーム、自然に関するクイズなどで、今歩いている森の多様さや重要性を学べます。印象的だった展示は、「目の前にあるブナの木が、一体何年ここで森の一員として存在しているのか」というもの。ちょうど私と同じ樹齢40年の木は、高さは10メートルくらいあるものの、直径20センチあるかないか。樹齢120年ほどのブナの木も立っていますが、それでも印象としては中堅どころ。思わず「なんて立派なんだ」と声を出してしまうブナの木は300歳を超えています。樹齢と合わせて人間の歴史の年表も展示されていて、改めて人間のちっぽけさとブナの森の壮大さを感じました。

オジロワシの巣をイメージした展望台オジロワシの巣をイメージした展望台

この施設のハイライトは、オジロワシの巣をイメージして建てられた展望台。再びらせん状のループを高さ40メートルまで上がっていくと、バルト海やプローラの巨大建築群、その向こうには白亜の崖、そして下に目をやるとブナの森が広がっています。私はまだ木々が裸の時期しか訪れたことがないのですが、これが新緑のまぶしい季節だったら一体どんなに美しいのだろうとワクワクします。リューゲン島にいらっしゃる際は、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。

ハス エリコ
ロストック在住。ドイツ北東地方の案内人、そしてシュヴェリーン城公認ガイド。ツイッターで観光、街、大好きなビールについて、ほぼ毎日つぶやいています。
Twitter: @rostock_jp
griffin-guides.com
 
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