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第8回 クサンテン

クサンテン(Xanten)

クサンテン

ノルトライン=ヴェルトファーレン州西部、オランダとの国境付近に位置する人口約2万2000人の街。その起源は古く、古代ローマ帝初期の時代、ローマ人がライン川右岸に居住していたゲルマン人に対抗するための軍用基地をこの地に築いたことに始まります。街には当時の様子を偲ばせる復元遺跡があり、考古学ファンを中心に観光客の訪問が絶えません。また、「ニーベルンゲンの指環」に登場するジークフリートの生誕地としても有名です。


駅から北東へ延びるバーンホーフ通り(Bahnhofstr.)に沿って5分ほど歩くと、白い小さな門が見えます。そこをくぐった先の左手にあるのが、街のインフォメーション。早速、街の地図を入手して広げてみると、クサンテンが大聖堂を中心に四方を市壁に囲まれた典型的なヨーロッパの街であることが分かりました。

地図を片手にマルクト広場に到着したのは正午過ぎ。そこではちょうど土曜市が開かれていて、新鮮な食材を求める買い物客や焼きたてのソーセージをほおばりながら歓談する人々でごった返していました。その様子を見ていたら空腹に耐えられなくなり、広場に面するレストラン「Zur Börse」でランチタイムに。旬のキノコと玉ねぎがたっぷり入ったシュペッツレ(小さく切って塩ゆでしたパスタ)をいただきました。


Map 1
お昼ご飯に食べたボリューム満点の
クサンテン大聖堂シュペッツレ
(Xantener Domspätzle)
Zur Börse, Markt 12

さて、午後からは本格的な散策の開始です。まずは街のシンボルである聖ヴィクトール大聖堂(Dom St. Viktor)へ。1530年に完成した大聖堂は、ケルン以北で最大級のゴシック様式の建築で、地下にはその名の由来となった殉教者ヴィクトール(4世紀生没)が眠っています。静寂な時が流れる大聖堂の中に身を置いたら、神聖な空気に心が洗われるような感覚を覚え、この地がなぜ「聖者たちの場所=クサンテン」と名付けられたのか、分かったような気がしました。

聖ヴィクトール大聖堂
Map 2
威風堂々たる佇まいの
聖ヴィクトール大聖堂

次に訪れたのは、「ニーベルンゲンの指環」の主人公ジークフリートの妻の名が付いたクリームヒルト風車(Kriemhildmühle)。中世には夜警人の住居としても利用されていたという風車は、今はもう稼働していませんが、1階がビオ製品のお店になっていて、そこで1ユーロ払うと、上の階に上って当時の製粉の工程を垣間見ることができます。

クリームヒルト風車
Map 3
クリームヒルト風車。
上に登るとき、風車が回転するたびに年季が入った木製の急階段が揺れてちょっと怖かった

続いてはこの街の一大観光スポット、考古学公園(Archäologicher Park Xanten)へ。広大な敷地内にはローマ人の戦闘装備や生活用具、温泉跡を展示するローマ博物館から住居、寺院、野外円形劇場の復元遺跡まで、古代都市がそっくりそのまま再現されていて、まるで古代都市にタイムスリップしたかのような気分を味わえました。

考古学公園
Map 3
考古学公園内の野外円形劇場。
公園の入場料は大人9ユーロ、18歳以下無料
www.apx.lvr.de

公園を後にして家路につきはじめた矢先、「ビクトール醸造所(Viktorbräu)」と書かれた看板を発見。奥に足を踏み入れると、ビール販売を行っているというご主人が出迎えてくれました。何でも、ここのビールは通常のビールより長い時間をかけてじっくり発酵・熟成させるとか。1瓶(1L)4.50ユーロで、収益の一部は大聖堂の修復に充てられるそうです。クサンテンの自然が生み出す芳醇なビール。地ビールに出会うと、その地の真髄を抑えたような気分になります。(編集部:林 康子)

ビクトール醸造所
Map 5
地元のマイスター、ヴィンフリート・イェーガーさんが丹精込めて醸造した Viktorbräu
Bahnhofstr. 6


目的地までの行き方
Düsseldorf Hbf 10:45発RE→Duisburg Hbf 11:03着
Duisburg Hbf 11:10発RE→Xanten 11:55着
1人片道12.40ユーロ
5人までのグループで行くならNRW州の「1日チケット(SchönerTagTicket)」(34ユーロ)がおトク!

最終更新 Freitag, 24 Mai 2019 15:13  
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