第1回
暗くなった衛兵の人形 〜カメラの露出とは? (1)
一眼レフと呼ばれるカメラでは通常、2種類の数字をコントロールできるようになっています。一つは本体にあるシャッター・スピード(1/250、1/60、1sなど)、そしてレンズ上にある明るさを表す数字(2.8、4、16など) です。この2種類の数字を調整し、写真の明るさを決めることを「露出」と呼びます。
現在ほとんどのカメラには自動で露出を決めてくれる機能が付いているので、撮影するたびに自分で調整する必要はありません。昔のカメラや、大型のカメラ(学校の集合写真などでご覧になった方も多いと思いますが、カメラマンが黒布を被りピントを合わす大きな写真機)には自動露出という機能がついていなかったため、光の量を計る露出計を携帯したり、カメラマンの経験値に頼らなくてはいけませんでした。このことが、昔は「写真は難しい」と言われていた理由の一つであったと思います。
最近のカメラにはほとんど装備されている自動露出機能(AやAUTOと書かれています)は、カメラ自身で露出を決めてくれます。カメラは被写体(撮影される対象物)から反射する光の量によって露出を決定します。すべての色をモノクロの白から黒のグラデーションで表した場合、中間のグレーにあたる色の反射率(18%)で写真の明るさを決めるように設定されているため、被写体の色によっては露出不足や露出過度(それぞれ露出アンダー、露出オーバーと呼びます)になる傾向があります。
例を挙げると、被写体が白いと露出アンダー(白は反射率が高いため、カメラは取り込む光の量を抑えることで反射した色をグレーにしようとします)になりやすく、そのため被写体に応じての露出補正が必要になります。写真3が自動露出で撮影したもの、写真4が露出補正を+2したものですが、 写真3のようにカメラの自動調整機能だけに頼ってしまうと、時に露出の落とし穴にはまります。少しこの露出について頭に入れておけば、明るさの調整での失敗はぐんと減るはずです。
(写真1)シャッター・スピードの調整ダイアル。最近ではモニター上でデジタル表示されるため、調整ダイアルにシャッター・スピードが示されていないことが多い
(写真2)レンズの明るさを示すf値(露出値)と呼ばれる数字。この数字が小さくなるほど明るくなり、ピントの合う範囲が狭まってくる
(写真3)写真全体に対して白の割合が多いと、カメラは明るすぎると反応し、光を抑えようとするため仕上がりは暗くなる
(写真4)3からプラス方向に2段階(+2) 補正したもの。こちらの方が見た目のイメージに近い
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