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Fri, 20 March 2026

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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その犬、切符はいりません

その犬、切符はいりません

「英国だとこの子と電車で一緒にいろんな場所にお出かけできるから助かるんですよ」

じっとしていたらぬいぐるみに間違えられてもおかしくないほどの愛くるしい表情をした、英国原産のワイアー・フォックス・テリアという犬を連れた日本人男性が教えてくれました。

その方は、日本に住んでいたときに小型犬を飼っていたそうです。男性の経験によれば、日本では電車に乗る場合、基本的には猫などほかの小動物も含め、小型犬はバスケットなどの入れ物に入れることが義務付けられていた、と言います。

JRの旅客営業規則で調べてみると、「3辺の最大の和が、120センチ以内の専用の容器に収納」と書かれていて、ペットであっても手荷物(!)として扱われることがわかります。また「普通手回り品料金は、旅客の1回の乗車ごとに、1個について290円とする」となっていて、きっちり料金も発生します。

一方の英国は、ロンドン地下鉄を運営しているTransport for Londonでは「ペットは有効なカードや乗車券を持った人に同伴されている場合、無料で乗車可能」とあります。だからでしょうか。車内で犬を見かけることは珍しくありません。

以前、隣にコーギーを連れた女性が座ったことがありました。「この子といると、『女王の犬と兄弟?』なんて、よく冗談で話しかけられるのよ」と、自然におしゃべりが始まりました。また、向かいに座っていた、ちょっとこわもての老紳士が、隣にチワワを膝にのせた人が座った途端、急に笑顔になって飼い主に話しかけているのを見たこともあります。

最近では混雑のために張りつめた空気が漂うこともあるロンドンの地下鉄ですが、犬がいるだけで雰囲気が和らぐ気がします。


「○○っていうパブでは、月に1回、犬の飼い主たちが集まるイベントがある。その日はみんなで地元を散歩したあとに、パブで犬たちを連れてビールを飲みながらおしゃべりするのが楽しい」。件の日本人男性が、英国は犬連れにいかに寛容かという話をさらに教えてくれました。言われてみれば確かに、英国ではパブの店内でもときどき犬がビールを飲む飼い主のそばでおとなしく座っているのを見かけることがあります。

とはいえ、どこでも犬の立ち入りOKというわけではありません。YouGovの調査によれば、ジムやスパ、高級レストランへの同伴については、過半数が「完全に禁止すべき」と回答。一方で、パブやカフェでは許容度が高くなっています。

しばしば「a nation of dog lovers」と表現される英国。公共交通機関やパブでの扱いを見る限り、犬たちは「手荷物」ではなく、家族や友人のような存在として受け入れられているのは間違いありません。

 
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マクギネス真美マクギネス真美
在英ライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。ポッドキャスト「The Real You with Mamita」とVoicy「英国からの手紙」のパーソナリティー。英国人義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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