117
全国共通試験は長期戦
「二人にGood luck って伝えてね!」わが家の双子が小学生時代に同級生だったケイティのお母さんから突然メッセージが届きました。それはちょうど子どもたちのGCSE初日の朝のことでした。
GCSEは「General Certificate of Secondary Education」の頭文字をとったもの。日本語にするなら「中等教育修了一般資格」とでも言いましょうか。英国の義務教育は基本的に11年生(Year 11)、16歳までとされています。その義務教育の集大成として、子どもたちが受ける全国共通の試験がこのGCSEです。そのため、現在11年生のわが子たちも受験義務があり、4月末から試験が始まりました。
日本の義務教育(それもかなり昔の制度)しか知らない私にとっては、英国の義務教育は全てが未知の世界です。小・中学校のどちらも地元の公立校に通った子どもたちの経験からすると、小学校時代は宿題はほとんどなく、おおらかな教育という印象でした。ところが中学校の2年目あたりからは先生たちがやたらとGCSEのことを強調するようになり、自分が大学受験の際に受けた共通一次試験(現在の大学入学共通テストにあたるもの)に向けて勉強していたときのプレッシャーを思い出してしまいました。
そして、GCSEで私が何より驚いたのが、試験期間が長期にわたること。わが子たちの例でいえば、4月末から6月中旬まで試験が続きます。試験科目は必修科目と選択科目があるので、必ずしも全員が同じ数の試験を受けるというわけではありません。とはいえ科目だけでも7~10個ほどあり、娘の場合には25個の試験を受けることになっています。その上、英文学の試験になると、135分という長丁場。大人でもそれほど長時間集中するのは難しいと思うと、子どもたちはすごいなー、と感心してしまいます。
2024年のある調査では11年生の77パーセントに試験不安によるメンタル面での問題が見られるという結果が出ているとのこと。それを考えると、一斉試験のやり方には課題もあるようです。とはいえ親としては見守って応援するしかないというのは、英国も日本も受験事情は同じといえます。
せめておいしいお弁当を作って力づけたいとも思うのですが、1575号のコラムでご紹介したように、私は日本のキャラ弁のような手の込んだものは一切作りません。とはいえ、試験期間中はハム・サンドばかりではなく、子どもたちの好きなスモーク・サーモンとクリーム・チーズのベーグル・サンドイッチの日を多くして、精一杯の応援をしています。