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バレンタイン・デーの告白
「昨日さぁ、学校でルイスがケイティーにバレンタインの告白をしたんだけど、11年生皆が校庭に並んで大騒ぎだったんだよ。それを誰かがTikTokにアップロードして、もう10万回も再生されているんだよ。マミィも見たい?」と言って、娘が見せてくれたショート動画。そこにはルイスの友人たちが1本ずつ花を持って列を作り、そこをケイティーが花を受け取りながら歩いて、最後にルイスがマイクを持って「Will you be my valentine?」と叫ぶ姿が映っていました。
2月14日のバレンタイン・デーにはまだ早いのに、どうしてルイスが告白したのかは分からないそうですが、ケイティーから「イエス」の返事をもらって、2人仲良く手をつないで歩いていったとのこと。
ルイスの例をみても分かりますが、英国のバレンタイン・デーは「女性が男性にチョコレートを贈る」「義理でチョコレートを贈る」といった日本の習慣とはかなり違います。もちろん英国においてもこの日は「愛を伝える日」です。ただし、男女どちらから告白してもよく、その際の決まり言葉といえば、「Will you be my valentine?」。
ルイスのように大勢の前でマイクで告白というのもドラマチックですが、たいていは「Will you be my valentine?」と書かれたカードを贈るというのが伝統的です。ただ面白いのが、そのカードには、決して自分の名前を書いてはいけないというのです。あくまでも自分の思いだけをつづって、名前は伏せておくのです。そして、カードを受け取った相手は「贈り主は誰?」と、どきどきしながら贈り主の顔を思い浮かべるというのがお決まりなのだそうです。実は私の夫も毎年バレンタインにはカードと花束、プレゼントを贈ってくれますが、そのときのカードには贈り主のところに「?」が書かれています(贈り主の見当はつくのですが、伝統を守ってそうしているようです)。
またプレゼントを贈るのも必須。ただプレゼントの内容は、日本のようにチョコレート一色ではなく、ウイスキー、ワイン、香水など、さまざまです。そして、プレゼントは女性から男性へとは限らず、すでに結婚しているカップルでもプレゼントの交換をします。なかでも、男性から贈るプレゼントでは赤いバラの花束が圧倒的に多く、バレンタイン・デー近くになると、花屋だけでなくスーパーの店頭にも数えきれないほどの赤バラが陳列されます。スーパーでバラの花束を買い物かごに入れてショッピングしている男性を何人も見掛ける英国のバレンタイン・デー。その姿を見掛けるたびに、こちらまで何だかハッピーな気持ちになります。