2025年1月1日からビザがデジタル化 英国「eVisa」の移行申請に必要な手続き・書類をいますぐ確認!
英国の内務省(Home Office)は、2025年から滞在許可証(ビザ)をデジタル化し、
セキュリティー強化や利便性の向上を目指す。今回はスムーズなeVisaへの移行のために、各自でやっておかなければいけないこと、そして10月からの主な変更点を紹介する。
(文: 英国ニュースダイジェスト編集部)
参考: www.gov.uk、www.ukvcas.co.uk、http://shukatsuweb.net/ukevisa
目次
eVisaとは
Home Officeは2023年10月30日に政府の公式サイトGOV.UKで、24年12月31日をもってこれまでのビザの形態を原則失効とし、25年1月1日以降は全面的にeVisaによるデジタル管理に移行すると発表。該当する方は、24年内にeVisaへ移行できるように、早めに必要な手続きを済ませることをお勧めする。
Home Officeは、2024年12月4日、eVisaへの移行期限を従来の24年12月31日から暫定的に25年3月31日まで3カ月延長すると公式に発表した。従って、まだeVisaへの移行手続きを済ませてなくとも、取りあえず25年3月31日までは海外出国後の帰英時に問題が発生することはない。
Home Officeの方針に基づいて、バイオメトリック・レジデンス・パーミット(Biometric Residence Permit=BRP)またはバイオメトリック・レジデンス・カード(Biometric Residents Card=BRC)という顔写真入りのプラスチックのカードを保有している方と、BRP/BRCは保有せず古いパスポートに永住権(ILR=Indefinite Leave to Remain)のスタンプの押印、またはステッカーが貼り付けられている方とでは必要な手続きが以下のように異なるので注意が必要だ。
BRP/BRCを保有している方
BRP/BRCを保有している方は、そのカードが24年12月31日に失効するため、年内にHome Officeのビザ・移民部門(UK Visa & Immigration=UKVI)のシステムにアカウント登録しeVisaへの移行手続きを済ませること。
古いパスポートにILRのスタンプが押印、またはステッカーが貼り付けられている方
英国のILRを取得していても、BRP/BRCは保有せず、古いパスポートにILRのスタンプが押印、またはステッカー(Vignette)が貼り付けられている方は、このeVisaへの移行手続きの前にまずNTL(No Time Limit)という申請を行う必要がある。
NTLについて
NTLとは、ILRを持つ人がそのステータスをeVisaで確認できるようにするための手続き。2024年10月以降、NTL申請に関する下記の三つの大きな変更点があった。申請手続きの簡素化が目的なので、年内にeVisaに移行しなくては、と不安がある方たちにとっては朗報だ。
- 10月14日から従来必要とされたILR取得後に継続して英国に居住していたことを証明する書類(カウンシル・タックスの請求書、登録したGPからのレター、電気ガス水道などの公共料金の請求書、就学・就労証明書など)の書類の提出は不要
- 10月31日から、新規のBRPカードは郵送されず、BRP番号がなくとも、NTLを申請することでUKVIアカウントの登録ができ、eVisaへの移行手続きが可能
- 古いパスポートにILRのスタンプやステッカーがある人は、eVisaへの移行は義務ではなく推奨で、それらのILRは2025年1月1日以降もILRの証拠として有効
NTLの申請方法
❶ UKVIのサイト(Biometric Residence Permit Replacement Service)のReplace a paper immigration document with an eVisaから情報を入力。ここで聞かれるのは、氏名、メール・アドレス、電話番号、住所、その住所に住み始めた時期、性別、婚姻関係、国籍、生年月日、出生国、パスポートの詳細(番号/発行機関/有効期限)、国民保険(National Insurance=NI)番号、英国での刑法・民法違反・犯罪歴・戦争犯罪・テロ・グループへの加担の有無、ILRの取得年月日、英国居住年数、ILRを取得してから6カ月以上の英国出国歴の有無など。
❷ その後、民間企業のサイトUKVCAS(UK Visa&Citizenship Application Ser vices)で、本人の顔写真の撮影/指紋の採取/パスポートのスキャンの予約を取る。
❸ UKVCASの予約を取った後、その前日までに
- 本人の現住所を証明する書類
- 現在のパスポート
- ILR取得後の失効した分を含む全てのパスポート
- 同サイトからダウンロードしサイン済みの、それらの書類が真正であるかどうかをHome Officeが第三者機関に調査することに対する同意書
- そのほかNTL申請に有益と思われる任意の関連書類(Tax Return確定申告書、P60 End of year certificate、NI National Insurance Contribution納付履歴など)を用意。これらは自身でアップロード、もしくは当日UKVCASのオフィス(サービス・ポイント)に持参する
❹ UKVCASの予約の当日に顔写真の撮影/指紋の採取/パスポートのスキャンなどが行われる。手続きを全て済ませると、2〜3カ月から6カ月以内にUKVIからNTL番号が発行されるので、UKVIのサイトに行き、そのNTL番号でアカウント登録することで、eVisaへの移行の手続きが完了する。
evisaについて(2024年を通じて更新予定):www.gov.uk/evisa
心配な方のためのQ&A
Q1 NTLの申請費用は?
eVisaへの移行やNTLへの申請手続きは無料。しかし、UKVCASでの顔写真の撮影や指紋の採取、パスポートのスキャンは、そのサービス・ポイントの場所や予約の曜日、時間帯によって無料から有料までさまざまだ。UKVCASのサービス・ポイントは英国全土に数十カ所あるので、自身に都合の良い場所を選んで予約を。
Q2 UKVCASの予約当日に持参するのは?
UKVCASの予約のQRコードが表示されている予約確認票と現在有効のパスポートの2点。また、10月15日以降、書類確認を行っていた民間企業が変わったため、会場によっては写真撮影や指紋採取がセルフ・サービスとなった。そのため証明写真のブースのようなところで撮影することになり、やり直しも可能。近くに係員がいるので、分からないことがあったら遠慮なく質問を。
Q3手続きの最中に国外に出られる?
UKVIのサイトに「すでに取得済みのビザやその条件は、このeVisaへの移行手続きによって影響を受けない」(Updating your physical document to an eVisa does not affect your immigration status or the conditions of your permission to enter orstay in the UK.)と明記されている。
また新しく加わった点は、古いパスポートにILRのスタンプやステッカーがある人は、eVisaへの以降は義務ではなく推奨で、従来の形態のILRは2025年1月1日以降もILRの証拠として有効。もし24年内にeVisaへの移行手続きが完了せず、25年1月1日以降にずれ込んだとしてもILRの取り消しや国外退去、再入国拒否などはない。
ただ、25年1月1日以降、eVisaへの移行手続きが済まないうちに国外に出た場合、英国の自動入国ゲートですんなり入国が認められるのか、審査に余分な時間がかかるかは不明だ。また、すでにeVisaを取得した方でも、期限の切れたBRPカードの携帯が推奨される。
Q4 結局、eVisaには移行しなくても大丈夫?
古いパスポートにILRのスタンプが押印、またはステッカーが貼り付けられている方は、引き続き国外移動にそのパスポートを利用することが可能。ただし、政府がデジタル管理を目指していることから、次第に不都合が出てくる可能性も否めない。例えば25年1月8日から英国入国にはETA(電子渡航認証)が必要になるが、ETAにもeVisaにも紐づけされていないパスポートが英国の自動入国ゲートを通れるのかどうか。
また、引越しや就職の際に必要になるほか、将来年金や保険などの社会保障制度でeVisaの提出が求められるようになる可能性もある。早いうちに移行しておくことをお勧めする。現在政府は、オンライン登録が苦手な年代に向け、外部の民間企業と協力してサポート・システムを構築中とのこと。
NTL申請後からeVisaを手にするまでの流れ
NTLを申請した弊社のスタッフが、実際にeVisaを受け取るまでのプロセスを時系列で見ていこう。
UKVCASのアポからBRPカードの受け取りまで
5/31 UKVCASのアポ
Document Scanningサービスを申し込んだので、書類はその場でスキャン(当日返却される)。顔写真の撮影と指紋も採取
8/12 Home Officeから連絡
Home Office Atlasより、「Application update」という件名のメールを受信。「Your application for a No Time Limit endorsement has been successful」とあり、無事に受領されたことが分かった。BRPカードが7~10日以内にRoyal Mailで配達されるということも書いてあった。ちなみに受け取り時にサインは必要なく、レターボックスに投函されるとあり。また、同メールにはeVisaにアクセスするためにUKVIのアカウントを作成するよう、リンクが掲載されていた
8/13 UKVIから連絡
Royal Mailより、UKVIから配達があるむねのメールを受信。14日の午前9時21分~午後1時21分に配達(Tracked 24)ということだったが、家を不在にするため、念の為(前述の通り、家にいる必要はないのだが)その翌日に変更。BRP Courier deliveryからもBRPカードの配達があるとのメールを受信
8/15 BRP Cardが無事に配達
10時01分に「Your biometric card is on its way」という件名のメールを受信。その1時間後にBRPカードが無事に配達。Royal Mailからも配達完了メールを受信
UKVIアカウント設定、アプリでのID確認から、eVisaのアクセスまで
8/16 UKVIのアカウント作成
12日のメールにあったリンクから、都合により手を付けていなかったUKVIのアカウントを作成。
手順は下記の通り
- リンクより UKVIのアカウントを設定。
- アカウントにアプリ「UK Immiglation: ID Check」(紫色のアイコン)やアクセスするためのQRコード、コネクション・コードが表示される。
- スマートフォンにアプリをダウンロードしたら、QRかコネクション・コードでID checkの手続きを開始する。
- アプリ内で、BRP、もしくはパスポートをスキャンと顔写真の撮影をする。
撮影方法に関しては https://www.gov.uk/guidance/using-the-uk-immigration-id-check-app を参考にした。 - セキュリティー質問を三つ設定した後、evisaへのリンク手続きが完了。
- Apply to visit tor stay in the UKより、「We are linking your eVisa to your account」という件名のメールを受信。正式なeVisaへのアクセスが可能になったら知らせる(We will email you to let you know when you can view your eVisa.)という内容だった。
8/20 eVisaを確認
UK VIsas and Immigration Home Officeより「View your eVisa」というメールを受信。アカウントにログイン後、無事にeVisaがリンクされていることが確認できた