スターマー首相「貿易協定締結が焦点」
トランプ氏の関税回避
トランプ米大統領の関税政策に対し、貿易協定の締結が重要と語るスターマー首相
(ロンドン 1月18日 時事)スターマー首相は17日付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」(FT、電子版)のインタビューで、20日に就任するトランプ次期米大統領が公約に掲げる関税政策を巡り、「誰の利益にもならない」とした上で、今後について「焦点は米国と何らかの取引、貿易協定を結ぶことだ」と述べた。米国との協定締結により、英国への懲罰的な関税を回避できるとの考えを示した。
英政権は欧州連合(EU)から離脱後、対米貿易協定の締結を模索してきたが、実現していない。スターマー氏は17日付の米紙「ポリティコ」(電子版)によるインタビューでも、数週間以内にトランプ氏のチームと貿易協定締結に向けた協議を開始したいと言及。同紙によると、両氏は2月にも米国で会談する方向で調整中という。スターマー氏はまた、「米国との貿易協定について話し合いたいという立場は明確で、EUとの関係をリセットするか、米国と協定を結ぶかという二者択一の議論は受け入れない」と強調。一部で主張される、英国が関税措置を逃れるためにはEUの基準から距離を置く必要があるとの考えを否定した。
一方、英国から米国への輸出品の一部が新政権にとって格好の標的となるのではないかという懸念が高まっている。ポリティコによると、専門家は、自動車や製薬業界が特に影響を受ける可能性があると指摘している。
マスク氏がSNS で英政権に「介入」
(ロンドン 1月10日 時事)英紙「フィナンシャル・タイムズ」は9日、トランプ次期米政権で要職に就く予定の実業家イーロン・マスク氏が、スターマー首相の交代を画策していると報じた。マスク氏は労働党のスターマー政権に批判的で、すでにSNS などを通じ英政治に事実上の介入を行っているという見方が出ている。
マスク氏は、トランプ次期政権の「政府効率化省」トップに指名されている。同紙によると、マスク氏は周辺との個人的な会話で、スターマー首相を交代させる可能性について議論。右派ポピュリスト政党「リフォームUK」の支援を想定しているとみられ、先月にもマスク氏が同党への巨額献金を検討していると報じられた。マスク氏がこうした言動を行う背景には、政治的立ち位置の異なるスターマー政権への「不信感」(英政治専門家)があるとされる。