第23回 夜の風景を美しく切り取る
〜ストロボ機能を操作する(1)
今回は、夜景の撮影に挑戦してみましょう。
写真1と3は、プログラム(カメラが露出やシャッター・スピードを自動的に判断する機能)で撮影しています。どちらの場合も、カメラが「暗い」と判断し、ストロボを発光して足りない光を補おうとしています。
写真1では、遥か遠くにある被写体にストロボの光が届かず、全体的にとても暗い写真になっています。写真3では、手前の塀と木の枝のみが明るく照らされ、背後にある肝心のロンドン・アイはよく見えません。
一方、写真2と4では「発光禁止モード」にしてストロボを焚かないようにしました。ストロボの光がない分、カメラは、シャッター・スピードを遅くすることで足りない光を補おうとします。この場合、写真上の光のむらは防げますが、注意しなければならないのが「手ブレ」です。日が落ちて完全に暗くなってからの撮影は、いくら感度を上げてもシャッター・スピードが遅くなることから(本コラム19回目参照)、手ブレが起こりやすくなります。美しい「夜景写真」には三脚が必須アイテムだと言えるでしょう。
三脚を使う際にも気を付けたいことがあります。シャッターを押す際に指からカメラが受ける衝撃で、写真がぶれて写ってしまうことがあります。しかしこれは、カメラ本体に触れずにシャッターを切ることができる「レリーズ」(カメラに接続して使う、ケーブル状になったシャッター・ボタン)や、シャッターを押してから数秒後に写真が写る「セルフ・タイマー」を使うことで防げます。
夜間に撮った写真は、それが全く同じ風景でも、日中とはまた異なる雰囲気に仕上がります。寒さが厳しくなる前に、様々な夜景撮影を楽しんでみてはいかがでしょうか。
(写真1)
プログラム撮影(f4.0/シャッター・スピード1/60秒、
ストロボ発光:あり)
Embankment駅からテムズ河対岸に向かう歩道橋より
ビッグ・ベンを臨む。建物の輪郭どころか被写体が
何なのかも分からない
(写真2)
(f5.6半/シャッター・スピード8秒、ストロボ発光:なし)
後方の建物がはっきり写り込んできた
(写真3)
プログラム撮影(写真1と同じデータ)
ロンドン・アイをテムズ河対岸より臨む。手前の塀や木はストロボで
明るく照らされているが、ロンドン・アイはよく見えない
(写真4)
(f4.0/シャッター・スピード2秒、ストロボ発光:なし)
ロンドン・アイのディテールが確認でき、光り輝いている雰囲気が出た
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