第37回 安定する被写体
~垂直・水平に構成する~
一人ひとり、話し方のくせが異なるように、カメラの構え方にも人それぞれ違いがあるようです。例えば、無意識に画面の右肩が下がる、あるいはその逆などですが、私もカメラを使い始めた頃には、先輩に指摘されるまで、自分の画面構成が少し傾いていることに気が付きませんでした。垂直・水平に気を付けることに慣れるまでは手間に感じたものですが、徐々にそれも撮影時の一つの習慣になりました。特に建物などの写真は、画面がきちんと垂直・水平に撮影できていると、安定感が生まれます。
写真1と写真2は同じ場所を撮影したものですが、写真1では画面が右方向に少し傾いています。写真2ではその傾きを垂直に直しました。2枚を比べてみると、垂直になっている写真2の方が、画面が安定して見えないでしょうか。
垂直・水平を正確に測るために、カメラ上に装着する「水準器」という器具や、「方眼マット」と呼ばれる、カメラの画面中に方眼が入るアクセサリーなども売られています。しかし単純にカメラの画面の四辺を使って、平行線を確認する目安にするのも良いでしょう。写真3では、水平線(街と空の境界線)と画面上辺が平行になるように構成しました。また、写真4のように被写体自体に縦や横のラインがあると、垂直・水平に構成しやすくなります。
また往々にして、カメラを手持ちで撮影するとくせが出やすいものです。三脚を使えば、落ち着いて垂直と水平線が確認できるでしょう。
注意したいのは、広角(ワイド)レンズを使用する場合です。ときに画面端が湾曲することがありますので、できるだけ画面中心に近い線を目安にするようにしましょう。
(写真1)
垂直線が右に傾いているため、画面の安定感に欠ける
(写真2)
建物の縦の線が垂直になったため、写真1より安定して見える
(写真3)
水平線を画面の上辺と水平になるように構成した
(写真4)
撮影するときには目安となるものを被写体の中に見付けると、
垂直・水平に構成しやすくなる
< 前 | 次 > |
---|