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Mon, 23 December 2024

「The Financial Times」紙って、
一体どんな新聞なの? - 小林恭子

学生の英国滞在

先月24日、昨年9月までの1年間に記録された移民総数の発表が行われました。結果は、政府の目標である「10万人以下」を大幅に上回る「25万2000人」。そんな中、早々と記録的な下降傾向を見せたのが、学生ビザの発行数です。4月に行われた大改革前の数字であるにもかかわらず2012年第1四半期における数字は62%減という結果からは、政府の移民政策がいかに学生たちの入国を締め付けているかが見て取れます。

昨夏にインターンとして就労した学生への救済措置

しかし、ここへ来て若干の救済措置も取られています。先月24日の政府発表によると、英国内で昨夏インターンとして就労した学生が、同インターン先で正式な就職を望む場合は、通常Tier2(General)で設定されている「クーリング・オフ」の制度から免除されることとなりました。「クーリング・オフ」とは、今年2月に新たに導入された制度であり、許可された滞在期間が終了した後、12カ月間は同様のビザの再取得を禁止するものです。

本年度10月31日まで有効とされるこの措置を享受するには、主に以下の条件を満たす必要があります。

★ 2011年度の夏にインターンとして就労した会社がスポンサーとなること。

★ 昨夏の就労時、インターンまたは夏期の臨時職員として、Tier2の下で4カ月以内の勤務を行うことを雇用主から保証されていたこと。

★ 申請から遡さかのぼる18カ月以内に学士を取得していること。

★「Graduate Training Scheme(大卒研修生制度)」で英国に戻ること。

★ Tier2の申請書上に記入される雇用先のスポンサー証明の開始日が、本年度10月31日以前の日付であること。

教育機関の提言

また、学生にとってさらなる朗報だったのは、政府の強硬な移民削減政策を受け、英国内の教育機関が懸念を表明したことです。先月には70の大学が共同声明を発表し、政府に対し移民総数から学生数を除くことを提言しました。これは、学生ビザの厳しい取り締まりを行うことで優秀な学生までもが英国で就学することがなくなってしまう可能性を恐れてのものです。また同提言内では、留学生がもたらす経済効果についても触れられており、英国の抱える不況の是正策を模索中の政府がどういった回答を寄せるか、注目されていました。

しかし、ダミアン・グリーン移民担当閣外相はこの提言を一蹴。今後移民数の算出方法に変更を加えるつもりはないと断言しました。また政府は、前述のインターンに関する救済措置の一方で、措置の終わる11月以降、「クーリング・オフ」の制度が雇用主の負担となることを想定し、今後インターンの雇用を考える場合には、学生ではなくTier5の保持者を候補とするよう雇用する側に促しています。

救済策や教育機関の提言などは、学生にとって明るい話題だと言えます。しかし、政府の強硬姿勢にはやはり注意が必要です。先日発表された統計が芳しくなかったことから、欧州経済領域(EEA)外出身者への締め付けは、今後もますます厳しくなっていくと考えて良いでしょう。せっかくの渡英のチャンスをふいにしないために、手続きは慎重に、専門家と二人三脚で行うことをお勧めします。

 

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi
フィナンシャル・タイムズの実力在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社) など。

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