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Sun, 22 December 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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フットボール狂想曲

フットボール狂想曲

原稿執筆時の7月半ばになって、パリ開催のオリンピックについて、「ようやく」盛り上がりを見せ始めた英国。というのも、7月14日に欧州選手権(ユーロ)2024の決勝戦が終わったからです。多くの在英邦人の方が賛成してくれると思うのですが、英国ではオリンピックよりもフットボールの大会の方が断然重要視されているという気がします。

ちなみに、今回のユーロ2024で、イングランド・チームは決勝戦でスペインに敗退。2021年7月11日にロンドンのウェンブリー・スタジアムで開催されたユーロ2020(パンデミックの影響で、大会が1年延期)の決勝戦でも、PK戦で敗れたイングランドは2大会続けての決勝戦敗退となりました。

前回のときもそうでしたが、決勝トーナメントに進むころには、国内のメディアでは「It's coming home(Football's coming home)」というフレーズが何度も使われ、フットボール(のトロフィー=栄誉)がその生誕地(イングランド)に帰ってくるという期待感が高まっていました。1966年のワールドカップ優勝以来、大きなタイトルから遠ざかっているイングランド。「期待感が高まる」と言葉で書くだけでは足りないほどのこの国の人々のフットボールへの熱狂ぶりというのは、現地に住んでみないと分からないと思います。というか、少なくとも私は英国に住むまで知りませんでした。

例えば前大会のときには、もしイングランドが優勝したら、翌日はバンク・ホリデーにして、イングランドの学校や仕事は休みにする、というアイデアまで出ていたほどです。また、やはり前大会のときには、イングランドの複数の学校で、決勝戦翌日の月曜日の登校時間を、通常より遅くしていいという決定がされました。理由は、日曜夜遅くまで試合観戦をした子どもたちに、翌日の朝寝を許可するためというのです。決勝戦を観戦することは「プライドやレジリエンスを学ぶ貴重な機会」「家族と過ごす大切な時間」と考えられてのことでした。


今回の決勝の前日、隣に住むサムは「勝つとは思えないけど、イングランドが勝ったら、飲んで騒ぐに決まっているから翌日は仕事はできない」と言っていて、その言葉は、イングランドのフットボール・ファンの複雑な心境とフットボール観戦では大騒ぎするという態度をよく表していると感じました。

「フットボールの試合がなければ、われわれはまだ戦争を続けている」というイングランドの人たちの言葉も冗談とはいえないほど、フットボールの情熱を持っている英国の人々。英国におけるフットボールの存在は、単なるスポーツの域を超えた、文化ともいえるものだと感じます。

 


マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
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過去のコラム:英国の口福を探して
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