Dear ドモンさん
去年日本に本帰国したのですが、土門さんのコラムはいまだにウェブで読んでいます。僕はドラムをやっていて、英国では専門学校でドラムを学びました。日本に帰ってからバンドを結成し、幸運にもデビューの話がきているのですが、レコード会社の意向で、変なヴィジュアル系みたいな格好をさせられそうなんです。それに、ディレクターやプロデューサーも本当に音楽が分かっているのか、いまひとつ信用できません。この話、このまま進めても良いのでしょうか?
結局最後は実力勝負だとは思いますが……。
私も一応音楽やってますし、あなたが言いたいことは身に染みてよく分かりますよ。でもね、結局CDを買うのはほとんど素人なんです。プロ・ミュージシャンや専門家も、自分たちの好みのCDなんかは手に入れると思いますが、実際に彼らがお金を出して新人バンドのCDを買うことは稀です。なので始めは素人にも分かるよう、ヴィジュアルやこけおどしで責める手法は、あながち否定できないと思うんです。
かのビートルズも、デビュー当時はマネージャーの思惑でマッシュルーム・カットにされたし、大御所ハードロック・バンドのキッスだって、歌舞伎役者みたいなメイクで売り込まれました。今では伝説になってるような日本のバンドにだって、いっぱいそんな例はありますよ。なので、あなたの言いたいことは百も承知ですが、「商業的」に成功させるためには、それなりの策というものが必要だと思うんです。しかしながら、ある程度の実力がないと後が続かないのも事実、いろいろと難しい世界だと思いますよ。
そんなあなたに
Hard Luck Woman
by KISS
「デトロイト・ロック・シティ」の方が一般的に有名かもしれませんが、あえてドラムのピーター・クリスが歌ったこの曲をおすすめ。ハスキー・ボイスがしびれます。爆音のイメージがあるキッスですが、こんなアコースティックな名曲もあるんですよ。どうしても納得がいかないのであれば、星一徹のようにちゃぶ台ひっくり返してくれい!
土門さんセレクションの音楽を収録した
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