A Fish Called Wanda(1988 / 英・米)
ワンダとダイヤと優しい奴ら
ロンドンの宝石店で1300万ポンド相当のダイヤを強奪することに成功したジョージ、ワンダ、オットー、ケンの4人組。しかし女詐欺師のワンダに仲間の男たちは翻弄され……。
監督 | Charles Crichton |
---|---|
出演 | John Cleese, Jamie Lee Curtis, Kevin Klineほか |
ロケ地 | Diamond House (36-38 Hatton Garden) |
アクセス | 地下鉄Chancery Lane駅から徒歩 |
- 今週は英国を代表するコメディー集団、モンティ・パイソンのリーダー的存在、ジョン・クリーズが脚本と演出を務め、また主役も演じたクライム・コメディーです。低予算で作られた映画ですが、制作側の予想を遥かに超えてヒットしました。日本人の皆さんの中でも、既に鑑賞済みの人や、観たことはないけど邦題に聞き覚えがある、という人は多いのではないでしょうか。
- 実はこの映画を高校生ぐらいのときに テレビでちらっと観たんですが、正直言って全然面白いと思わなかったんです。主演女優にも特に魅力を感じなかったし、冴えないオッサンたちがドタバタやってるな、というぐらいの印象でした。モンティ・パイソンのことも全然知らなかったんですよね。それで今回改めて観てみたら、とても面白かったんです! 特に、英国生活を経験した今だからこそ笑える部分がいっぱいでした。
- うん、いかにも英国的なブラック・ジョークと、米国らしいハチャメチャ劇の両方が楽しめる一本だよな。米国人と英国人が互いに抱いている反感とか、英国人が自国の国民性を皮肉っている台詞なんかもチラホラ出てきて、ちょっとした文化人類学コメディーって感じもするよな。
- 外国語を喋る男に興奮する女もいますしね(笑)。ところで主演女優のジェイミー・リー・カーティスって、米国の名優トニー・カーティスの娘だったんですね。僕は彼女、色っぽいと思いますね〜。
- 私はケビン・クラインのオットーに笑わせてもらったわい。ジョン・クリーズは雑誌か何かで見た怪しい新興宗教の教祖に着想を得てあのキャラを生んだそうだが、イタリア語のナンセンスな台詞、というか多くは食べ物の名前だが(笑)、あれはクラインのアドリブだったりと、即興もかなり取り入れているらしい。ベッド・シーンでの「ヴォラーレ」も彼のアイデアなんだってさ。
- ケビン・クラインは本作でアカデミー賞の助演男優賞を受賞してますからね。ちなみに僕はやはりジョン・クリーズとマイケル・ペイリンのモンティ・パイソン組ですねえ。動物愛護精神に満ちていながらも、誤って犬を3匹殺ってしまうペイリン扮するケンのキャラがツボでした。
- あの犬を飼っている老女の家は、South Kensington駅を出て少し歩いたOnslow Gardens 69番地のフラットですね。ちなみにケンのフラットはPaddington界隈、Maida Avenueの7番地「Aubrey House」です。
- ジョン・クリーズ扮する弁護士のアーチーが、不在の友人宅でワンダと逢い引きするも、結局、他人に裸踊りを披露するハメになっちゃうシーンでも爆笑したな。
- タワー・ブリッジを一望するテムズ河沿いのあのフラットは、デザイン・ミュージアム近く、Bermondsey Wall Westに建つ「New Concordia Wharf」の一室です。またワンダが訪ねていくアーチーの事務所はHolborn界隈、司法関連施設が集まるLincoln's Inn Fields近くのNew Square 2番地に建っています。
- そういえば物語の発端となる、4人が強盗を図る宝石店ってどこだっけ?
- あれはHolborn界隈、Hatton Garden 36-38番地の「Diamond House」です。Hatton Gardenは中世より、宝石商が集まるジュエリー・トレードの中心地として栄えたエリアでして、今も50以上の宝石店が立ち並んでいるんですね。
タロウが言ってたように、英国文化及び英国流ユーモアを知れば知るほどに面白さが増す映画かもしれん。ジョン・クリーズはケンブリッジ大で法学を学び、弁護士として働いた経験があるだけに、アーチー役もなかなかサマになってるね。しかしこのキャラ、クリーズ演出・主演の大人気コメディー番組「フォルティ・タワーズ」のバジルを彷彿とさせるよな。ちなみに娘のポーシャ役は、クリーズの実娘が演じてるよ。
< 前 | 次 > |
---|