Match Point（2005 / 英・米・ルクセンブルク)
マッチポイント

元プロ・テニス選手クリスは、会員制のテニス・クラブでコーチとして働いているうちに上流階級出身のトムと親しくなる。やがてトムの妹クロエに気に入られて結婚するが、トムの婚約者で米国人のノラに心を奪われ……。

監督	Woody Allen
出演	Scarlett Johansson, Jonathan Rhys Meyers, Matthew Goodeほか
ロケ地	Brasserie Max (Covent Garden Hotel)
アクセス	地下鉄 Covent Garden駅から徒歩

• 今週は74歳になってもなお、今までと変わらないペースで活動を続けている米ニューヨークを代表する作家、ウディ・アレン監督が、初めて全編ロンドンで撮影を行った作品です。
• 何を隠そう、私は以前からアレン監督作が好きでね。その昔｢カイロの紫のバラ｣を観て以来の隠れファンなのだ。
• 僕も少し前に「それでも恋するバルセロナ」を観ましたが、面白かったです! コメディーをお得意としてますが、本作ではラブ・サスペンスに挑戦してるんですよね。
• 予想以上にハラハラさせられましたねー。僕はああいう、隠れてコソコソ裏工作した挙げ句に取り返しのつかないコトになるっていう話がダメなんです。ドキドキしちゃって見てられません。よくある展開といえば、そうなんですが……。
• といっても、そこはやっぱりウディ・アレン。定番の不倫がらみのサスペンスを通して「運」と「偶然性」 について説くという、示唆に富んだつくりなのだ。
• とにもかくにもアンチ・ハリウッドなアレン監督は、本国よりも海外での興行成績が高いことでも知られていますが、本作は1986年の「ハンナとその姉妹」以来、19年ぶりに米国で収益を上げた作品なんだとか。加えて監督が個人的に気に入っている一本でもあるそうです。
• ところでスカーレット・ヨハンソンがこの作品以降、アレン監督のミューズになりましたよね。何を隠そう、僕は「ゴーストワールド」以来のスカヨハ・ファンです。
• なにがスカヨハだ。チャラチャラ略してんじゃないよ。ところでこの作品、全編ロンドンということで、お馴染みのスポットがあちこち登場してるよな。
• しかも登場人物が上流階級一家、元プロ・テニス選手、女優志望の女ときたもんですから、ポッシュなとこばっかりです。
• 例えば、クリスがトムと出会うテニス・クラブは、世界初の多目的スポーツ・コンプレックスとして1886年にウエスト・ケンジントンに創設された「The Queen's Club」です。また、トム & ノラとクリス & クロエで初めてダブル・デートするレストランは、コベント・ガーデンの「Brasserie Max」ですね。物語の後半でノラが働いているブティックはノッティング・ヒル、Ledbury Road 39番地の「Paul & Joe」です。
• ヒューイット家の邸宅や、クリスとノラの新居の超豪華マンションは?
• ヒューイット家のロンドン宅はバッキンガム宮殿近くの超高級住宅地Eaton Squareの一角にある建物です。そして圧巻のパノラミック・ビューを誇るクリス & ノラ宅は、ランベス地区にある、その名も「Parliament View Apartment」でございます。 テムズ河に面した最高のロケーションですよねえ。
• ほかにも「Saatchi Gallery」「Tate Modern」「Royal Opera House」「Palace Theatre」「Gherkin」など、一見してすぐどこだか分かる名所も数多く登場していますよね。余談ですが、僕はヒューイット家の人々がとても印象的でした。いかにもアッパー・クラスな人々、しかもビジネスで成功している一家をリアルに描写しているように思いましたね。トムとかクロエみたいな人って実際にいますからねえ。
• つーか、ジローはアッパー・クラスに知り合いがいるとでも言うのか。
• フフフ、それは秘密です。

ウディ・アレン監督の作品って、小粋で洗練されててインテリの匂いがする一方で、どこか本能的でエネルギッシュな感じがして好きなんだよね。本作の結末、皆さんはどう見ますか? ちなみにこの翌年に撮影された「タロットカード殺人事件」と翌々年の「ウディ・アレンの夢と犯罪」も軒並みロンドンで撮影されていて、これら全部で「ロンドン3部作」と呼ばれてるよ。