第4回 自分の思い通りのイメージに
~露出の調節 (2)
カメラの露出操作(写真を明るくしたり暗くしたりする機能)の応用編について、引き続きお話をしたいと思います。前回は、露出を通常(カメラが感知する「適正な明るさ」)より明るく調整することによって、イメージを柔らかくしたり、爽やかな雰囲気を強調したりすることができるというものでしたが(かなり明るめの露出で撮影された白っぽい写真を「ハイキーな写真」と呼びます)、逆に適正露出からマイナス方向へと補正すると、被写体(撮影する対象物)の重厚感が出て、ドラマティックな雰囲気を持った一枚を撮ることができます。この暗めに撮影された写真は、「ローキーな写真」と呼ばれています。
写真1は、適正露出で撮影したものです。そして写真2は、そこから露出補正ダイアルをマイナス方向に移動させ、同じ角度で撮影しました。明るさを変えただけで、随分とイメージが変わる様を確認して頂けるはずです。金属や岩肌のような素材感を生かしたいとき、月日の経過を感じるアンティークの物を撮影するとき、マイナス補正は効果的に働いてくれるでしょう。
またこの補正撮影は、写真4のように影絵的な写真を作る時にも生かせられます。補正前の写真3では、太陽と空の明るさが同化し、目線をばらつかせますが、写真4では太陽の沈む直前の輪郭と、夕焼けの空のグラデーションが引き立ち、輪郭だけになった他の要素が全体の画面を引き締めます。
(写真1)カメラが示す適正露出で撮影したもの
(写真2)マイナス補正で撮影したもの。コインのしみや傷などが目立ってきて時間の経過を感じさせる。重厚感を表現したい時などにもマイナス補正は有効
(写真3)テムズ河沿いにて。夕日が沈む直前に撮影
(写真4)すべての輪郭が黒くなるまでマイナス側に補正。このように、見えている要素を影にすることにより、見る側の視線を1カ所に凝縮させたり、ドラマティックな効果を持たせられる
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