第11回 柔らかになる風景
~レンズの構造について
一眼レフカメラの特徴は、「撮影したいシーンに併せてレンズを交換することができる」ということですが、同じ画角(カメラに写る範囲を表した角度)のレンズでも価格の幅が広く、どれを求めたらいいのか戸惑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、「レンズ」について少しご説明します。レンズ全面は一点に光を取り込めるように球面になっているため、中心と縁では光の屈折率が異なります。これを「球面収差」と呼びますが、この収差が大きいと、像の大きさと位置にずれが生じて、撮影した写真がぼけたように見えてしまいます。その現象を抑えるため、レンズ内部では屈折率の異なる凹凸レンズ群が使用されていますが、その構造の性能、そして素材の違いがレンズ価格にも影響しているのです。
被写体だけにピントを合わせて写真を印象づけたいときに、F値を開放する(F値をそのカメラの一番小さい数字にすること)撮影方法がよく用いられます。F値が小さくなればなるほどピントが合っていない部分のぼやけ感が深まり、被写体を浮き上がらせるような独特の柔らかい効果がさらに得られることが、明るいF値のレンズが好まれる一つの理由でしょう。
右の2枚の写真は、マクロ・レンズ(接近撮影の可能なレンズ)を使用してF値を変えて撮影していますが、値が小さい方(写真1)が周りのぼやけ感が強くなっています。
55ミリレンズ/F2.5 シャッター・スピード1/125
55ミリレンズ/F5.6 シャッター・スピード1/30
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