第12回 違って見える同じ風景
~レンズの種類について
今回は、レンズの種類についてご説明します。左の写真は、同じ被写体を同じ位置から、3種類のレンズを使って撮影したものです。ISO感度は100に設定。f値は4.0で、シャッター・スピードは1/250秒と、レンズの種類以外はまったく同じ設定です。
写真1は50ミリの標準レンズで撮影したもの。このレンズだと、肉眼で見た印象に近いイメージで撮影することができます。どんなレンズを買ったらいいのかよく分からないという人は、まずこのレンズから使い始めてみてはどうでしょうか。そこから、撮影したい要素に応じてレンズを増やしていくというのもひとつの方法です。
写真2は28ミリの広角レンズです。広角レンズは、画角が広いだけでなく被写界深度が深いのが特徴で、手前から被写体の奥までピントを合わせた「パン・フォーカス」と呼ばれる撮影方法に向いています。風景写真などに使われることも多いレンズで、大きな建物の全景を入れて撮影したい時などに役立ちます。また、遠近感が強調されるのも特徴です。
写真3は100ミリ望遠レンズを使用しました。望遠レンズで景色の一部を切り取ったような撮影ができることは多くの方がご存知だと思いますが、もうひとつ、焦点距離の関係から、他のレンズと比べてピントを合わせた部分以外のぼやけ方が強いのもこのレンズに特徴的なことです。被写体だけに焦点を絞った撮影ができるため、ポートレイト撮影にもよく用いられます。ただ標準レンズに比べるとかなり重いので、手ブレが起こりやすいのが難点。望遠レンズを使用する場合には、三脚などで固定するのが無難でしょう。
◆「撮像素子(イメージ・センサー)」について
デジタル・一眼レフ・カメラの「撮像素子(イメージ・センサー)」と呼ばれる部位は、フィルム・カメラのフィルムに相当する、画像を記録する場所です。一部の高価なデジタル・カメラには、「フルサイズ」と呼ばれる35mmフィルムと同じサイズのセンサーが装備されていますが、それ以外の一般的な機種には、その半分くらいのサイズのものしか装備されていません。このため、一般的なデジタル・一眼レフ・カメラにマニュアル・カメラ用レンズを装着して撮影した場合、画像のへりがセンサーに納まり切らず、できあがりの写真が違う種類のレンズで撮ったもののように見えることがあります。センサーのサイズによってその度合いは変わってきますので、お持ちのカメラでチェックしてみましょう。
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