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Mon, 23 December 2024

英国では4月6日より、日本人を始めとする欧州経済領域(EEA)以外の国籍を持つ移民に対して、国民医療制度(NHS)の利用料が課金されることになりました。今回は、多くの在英邦人に影響を与えることになるこの新制度について解説いたします。

年間200ポンドの課金

NHSはこれまで、英国民や永住権保持者を主な対象として、一部の例外を除き、無料で医療サービスを提供してきました。しかし、短期滞在者による同制度の乱用や財政状況の悪化などを受けて、英政府は近年、外国人を中心としたNHS利用者への対応の厳格化を検討。こうした動きの一環として、英国の内務省は、3月下旬、日本人を含むEEA圏外の国籍を持つ中長期滞在者から、NHSの利用料に相当する「ヘルス・サーチャージ」を徴収すると発表しました。2015年4月6日以降は一部の例外を除き、英国への滞在許可の新規取得及び延長を申請する人は、年間200ポンドの料金をヘルス・サーチャージとして支払うことが求められます。尚、一般的には学生ビザに位置付けられるTier4の申請者の料金は150ポンドです。

一括払いできなければ申請拒否

同制度では、滞在許可が定める滞在年数分の料金を前払いで一括して支払わなければなりません。例えば、いわゆる現地採用の在英邦人の方々が多く取得する5年間の労働許可「Tier2(General)」を取得する場合は、料金は200ポンド×5年分となる1000ポンド。加えて配偶者1人、子供3人とともに英国に滞在する場合の総額は、200ポンド×5年×5人=5000ポンドに達する可能性があります。内務省は、ヘルス・サーチャージの支払いが確認できなかった場合には、滞在許可の申請が拒否または無効になると述べているので注意が必要です。

多くの駐在員の方々が該当するTier2(Intra Company Transfer)保持者はこのヘルス・サーチャージを支払う必要がありません。しかしながら、同滞在許可の申請時に、ヘルス・サーチャージの支払いを行うための専用ウェブサイトで照会番号を取得する必要があります。

短期旅行者への影響

6カ月以内の旅行者に対しては、ヘルス・サーチャージの支払いが免除されています。ただし、旅行者のNHS利用についても対応を強化。4月より、EEA圏外の国籍を持つ旅行者がNHSで治療を受けた場合には、治療費の150%に相当する金額を請求することになりました。この支払いを履行できず、未払い額が1000ポンド以上に達すると、同料金の支払いが行われるまで英国への再入国または滞在が認められなくなります。

申請拒否の場合は返金に

滞在許可の申請自体が拒否された場合には、一度払い込んだヘルス・サーチャージは後ほど返金されます。しかしながら、滞在許可を取得しながらも来英しなかったり、英国滞在中に一度もNHS提供のサービスを利用しなかったなどの理由で、ヘルス・サーチャージが返金されることはありません。

このように、ヘルス・サーチャージの導入により、英国への滞在許可の申請手続きはさらに煩 瑣(はんさ)なものとなりました。既に英国の滞在許可申請は、申請者が一人で手続きの準備を進めることがほぼ不可能と言っていいほど複雑さを増しています。また英国の内務省による移民への取り締まりは引き続き厳格化されることが見込まれているので、申請者は相当な準備を行うことが求められるでしょう。滞在許可を取得するには、できるだけ早い段階で準備を開始し、申請手続きは専門家と二人三脚で着実に進めることをお勧めします。

 

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『シティを歩けば世界がみえる』を訴え、平日・銀行マン、週末・ガイドをしているうち、シティ・ドラゴンの模様がお腹に出来てしまった寅年7月生まれのトラ猫


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