ニュースダイジェストのグリーティング・カード
Sat, 23 November 2024

英国の
愛しきギャップを
求めて

英国に暮らして20年。いまだに日々のあらゆる場面で「へー」とか「ほー」とか「えー」とか言い続けている気がします。住んでみて初めて英国の文化と人々が、かくも奥深いものと知りました。この連載では、英国での日常におけるびっくりやドッキリ、愛すべき英国人たちの姿をご紹介したいと思います。


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クリスマスに欠かせないスイーツとは?

クリスマスに欠かせないスイーツとは?

英国のクリスマスの三大菓子といえば、クリスマス・プディング、クリスマス・ケーキにミンス・パイです。でも実は、ほかにも忘れてはならないクリスマス・シーズンに欠かせない甘いものがあるのをご存知でしょうか?

それは何かというと……缶やプラスチックでできた直径23センチほどの入れ物に入った一口サイズのチョコレート。「ロージズ」「セレブレーションズ」「ヒーローズ」などいくつか種類がありますが、なかでも発売開始から85年と最も歴史が古く、英国の人なら誰もが一度は口にしたことがあるものといえば「クオリティー・ストリート」です。正確にはチョコレートとトフィー(日本のキャラメルに似たお菓子)の詰め合わせ。カラフルなセロファンとホイルの包みが、クリスマスを彩るのにぴったりの華やかさです。

形や包みの色によってフレーバーがそれぞれ違うため、人によって好みが分かれます。先日、義弟家族の家でサンデー・ローストをごちそうになった日のこと。ディナーを終えて、ソファで紅茶を飲みながらくつろいでいたとき、義妹が「ちょっと早めのクリスマス」と、クオリティー・ストリートの容器を差し出しました。「ノーティーだね!」と笑いながら、それぞれが一つずつ自分の好きなスイーツを選びます。

「おー、よかった。グリーン・トライアングルが残ってた!」、夫がおおげさに言いながら、名前の通り緑色で三角のチョコレートを取り出しました。すると義妹は「えー、それはうちではいつも最後まで残るやつなのに」と不思議そうです。「じゃああなたのお気に入りはどれ?」と私が聞くと、義妹は「もちろん青いやつ!」と言うではありませんか。ブルーの包みはココナッツ・エクレアで、わが家では最後に必ず残ってしまうフレーバーです。「あんなにおいしいのに信じられない!」笑いながらお互いに好みのフレーバーがいかにおいしいかを弁論しあった後は、「今度からは残ったグリーン・トライアングルとココナッツ・エクレアを交換しよう」ということで合意しました。


クオリティー・ストリートのどの味が人気かは、実はわがファミリーの間でだけでなく、英国民にとって一大関心事。毎年この時期になると新聞かネット上で人気ランキングが発表されます。また、今年は製造元のネスレが、現在は製造をやめてしまった、かつての人気フレーバー五つについて消費者からの投票を募っていました。1番人気のものについては2022年のクオリティー・ストリートに再登場するとのこと。残念ながら投票は11月26日で締め切られましたが、来年、どのフレーバーがカムバックするのか、楽しみに待っていたいと思います。

 
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マクギネス真美マクギネス真美
英国在住のライフコーチ/編集者/ライター。2003年渡英。英国の食、文化、人物、生活などについて多媒体に寄稿。音声メディアVoicyパーソナリティー。英国人の義母に習い英国料理の研究もしている。
mamimcguinness.com
過去のコラム:英国の口福を探して
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