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お弁当の中身
英国のロックダウンは続いていますが、ワクチン接種率の増加に伴い、徐々に規制緩和へと向かい始めました。
なかでも、3月2週目からの学校再開には、自身のリモートワークに加え、毎日子どもたちの勉強をサポートしたり、世話をして心身ともに疲れ切っていた多くの保護者が喜んだに違いありません。わが家の子どもたちも、学校再開の前週に学校でのCOVID-19検査を受け、陰性と診断され、無事に登校できることになりました。
子どもたちが学校に戻ることで、日中、家で静かに仕事に集中できるようになってうれしい反面、お弁当作りの日々が戻ってくるため、朝は少し早起きが必要になります。
もうずいぶん前のことになりますが、初めて子どもたちが学校にお弁当を持っていくとき、英国ではいったいどんな中身なのか想像がつかず、近所に住むアリソンに聞いてみました。
「ジョンはいつもサンドイッチとクリスプス、あとはキットカットとかのチョコレート・バーに、ジュースかな。それに、りんごかバナナを持っていくこともあるけど」。英国の子どもたちのお弁当を見たことがない私に、アリソンは親切にもわざわざ実際のお弁当箱を見せて説明してくれました。
5センチほどの深さのプラスチック製のお弁当箱には、サンドイッチを平たい状態のまますっぽり入れて、チョコレート・バーやりんごやクリスプスも一緒に詰めるだけ。あとになって、にんじんスティックやミニ・トマトなどの野菜を入れる場合もあると知りましたが、それにしても、日本のキャラクター弁当などに比べると、なんともまあ、おおらかというかシンプルというか。
念のため、インターネットで英国の子ども用のお弁当アイデアを検索してみましたが、サンドイッチ以外だと、前日の夕飯の残りのパスタやピザを詰めて、あとは果物やヨーグルトを加える、といったものが大半でした。
そういえば、渡英1年目にロンドン大学の語学コースに通っていたとき、クラスメートだった在英期間の長い日本人女性が「今日はニックがお弁当を作ってくれたの~」と見せてくれたパートナー作のお弁当の中身が、一口サイズのポーク・パイ3つ。「これが英国流のお弁当なのか!」と衝撃を受けたのを思い出しました。
では、私が作る我が子のお弁当は? もちろんキャラ弁……ではなくて、英国流。ほぼ毎日、サンドイッチと野菜スティック、それに果物とチョコレート・バーです。月に数回、子どもたちのリクエストがあったときだけ、おにぎりが登場しています。作る時間はせいぜい15分くらいで、お弁当作りのための早起きといっても実はそれほど大変ではなかったことに、今、気付きました。