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飲みながらクイズに挑戦
「明日の夜、近所のパブ『スワン』でやるクイズ・ナイトに行くんだけど、一緒に行かない? 私たち家族と、あなたたち家族で競争したら面白いでしょ」
先週、義妹からWhatsAppにメッセージが届きました。義弟家族はクイズが大好きで、毎月1回はパブ・クイズに出かけています。少し前に一緒にバーベキューをしたときに「次にパブ・クイズに行くときには誘うね」と言っていたのは社交辞令だと思っていたので、本当に誘われるとは思っていませんでした。
その日は夫が出かける用事があって参加できませんでしたが、義妹からは「私たちが優勝したのよ!今度は絶対一緒に行こう」と、クイズ開催の翌日、再度メッセージが来ました。義弟夫婦のパブ・クイズ好きはどうやら筋金入りのようです。
ところでこのパブ・クイズとは、その名の通り、パブで行われるクイズ大会のことです。日本の居酒屋で「クイズ・ナイト」を開催する店はあまりないと思いますが、英国では多くのパブがこのイベントを開催しています。
最初に英国のどこで始まったかには諸説あるようですが、1970年代あたりからパブ文化として欠かせないものになったようです。平日の夜に客足が減るパブが集客のための手段として考え出したともいわれますが、テレビでも数多くの人気クイズ番組が存在する英国において「クイズ大会」をパブで行うというのは、突飛なアイディアではないのかもしれません。
YouGovの調査によると、英国人の95パーセントがパブ・クイズを知っていて、66パーセントはパブ・クイズの存在を好意的に捉えています。たいていのパブの入り口には看板があり、パブ・クイズのある日にはどこも「クイズ・ナイト!」とおおっぴらに宣伝しているので、この認知度の高さは納得のいくところ。
一般紙「ガーディアン」の記事によると、パブ・ヒストリー・ソサエティの会長であるパトリック・チャップリン博士はパブ・クイズの人気について、「本気の人、またオタクの人もいますが、パブ・クイズはチームで楽しむものとしても人気があります。知識で勝ちたい人もいれば、ただ数杯のビールと共に楽しい時間を過ごしたい人もいる。そこがいいんです」と言っています。
本気で勝ちたい義姉、ビールを飲んで楽しい時間を過ごしたい義弟、という義弟カップルは、まさにその言葉を体現しているといえそうです。
以前、パブ・クイズに参加したとき、見事に一つも答えが分からなかった私は、以来1度もパブ・クイズのある日のパブには近づいていませんが、義弟夫婦を見習って、今度はチャレンジしてみようかと思います。