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安心してOK!看護助手から受ける採血やECG
「スーパーのバイトがどこも応募者多数で不採用になり、コロナ・ワクチンの打ち手バイトに応募しました!」。ワクチン接種会場のバイトで、一緒のシフトに入ったワクチンの打ち手は法学部の大学生、隣の注射の打ち手は音楽系の学生。大規模接種会場の注射の打ち手には、医療とは全く無関係の「素人」が研修を受けて現場に入ってもらうことがあると、以前のコラムでもお伝えしました。コロナによる不況のせいか、ワクチンの打ち手も応募者が多数いたのですが、何よりもワクチン打ち手の仕事がスーパーやカフェのバイト同列の選択肢にあることに正直驚いたものです。
コロナ・ワクチンに限らず、英国では看護師免許のない看護助手に医療行為をさせることはよくあり、例えば、採血や点滴チューブのアクセスとなる静脈留置針(カニューレ)の挿入やECG(心電図)の測定などがあります。看護助手は技能によってそのランクが分かれていますが、採血やECGであれば最も下のランクの看護助手でも処置を行います。日本人の方から何度か「正規の医療従事者以外から処置を受けるのは怖い」と言われたことがありますが、確かに日本の基準からすれば、考えられないことかもしれませんね。
英国で医師、看護師以外のスタッフに医療行為が認められる主な理由は、医療従事者不足と経済的な事情です。そのため、NHSではこれまでさまざまな工夫をしてきました。例えば、ある病棟では、2000年代まで5人の正看護師が配置されていましたが、今では正看護師は2人、代わりに看護師より安く雇える看護助手が3人配置されています。こうして医療従事者不足と予算不足を解消するため、少しでも安価に使えるスタッフを使うシステムができました。これは医師と看護師の間や、医師内や看護師内のジュニア・スタッフとシニア・スタッフ間でも同様です。したがってどの職業でもランクでも、かつて求められていた以上の医療行為をしていく必要性が出てきたのです。
ここまで読んで、その安全性を心配する方も多いかもしれませんがご安心ください。正看護師、看護助手にかかわらず、処置ごとに各病院で研修を受けて合格をする必要があります。このルールはどこの病院でも同じで、逆を言えば、正看護師でも院内の研修と試験を合格しなければ処置を行うことはできません。そのため英国の看護学生には上記のような技術は卒業条件の必須項目に含まれておらず、私も大学時代はこれらの技術を習わずに正看護師になりました。ちなみに私が採血の研修を初めて受けたのは、看護師8年目の昨年で、まだ採血は駆け出しの身。血管の細い患者さんなど自信がない場合は、経験豊富な看護助手に立ち合いをお願いしています。先日は研修医1年目が、看護助手に採血の立ち合いを頼んでいました。
このように医療技術は看護師や医師など専門職だから必ずしも安心とは限らず、むしろ日常的に採血やECGを主な業務としてこなしている看護助手が最も慣れていてうまい、ということは当然ともいえます。今後、NHS病院で看護助手から採血などの処置を受ける機会があったら、どうぞ安心して受けてください!