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王子の成人を祝うパーティー
あらすじ:舞台では、王子ジークフリートの成人を祝う祝賀会の最後の準備が行われている。親友のベンノや家庭教師ら気心の知れた仲間と酒を酌み交わしほろ酔い気分の王子の前に、母である王妃が登場。王子をたしなめると共に、明日の夜の舞踏会で花嫁を選ぶよう言い残して去っていく。夜空を見上げると白鳥の群れ。愛無き結婚という現実に心沈ませる王子を慰めようと、ベンノは王子を白鳥狩りに誘う。王子とベンノ、仕官候補生の若者たちは、弓を手に夜の森を抜けて湖に向かう。
見所:ロイヤル・バレエ版1幕の見所は、群舞(村人たち)によるワルツだ。群集が醸し出す熱狂、陶酔の見事な視覚化にご注目頂きたい。
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夜の湖畔にて運命の出会い
あらすじ:悪魔ロットバルトの呪いにより昼の間白鳥に姿を変えられているオデット姫が、美しい娘に戻る場面を王子が目撃。呪いを破るには1人の男性が彼女へ永遠の愛を誓い、それを貫かねばならないという。夜明け前に互いへの愛を確信する2人。だが朝の訪れと共に、オデットは再び白鳥に姿を変えられロットバルトに連れ去られる。
見所:作品中最も有名な場面である王子とオデットのロマンティックなアダージョ、バレリーナ4人が手を組んで踊る「4羽の白鳥の踊り」などの見所をじっくり鑑賞したい。主役を踊るバレリーナには女優としての資質や、白鳥を彷彿とさせる腕の動きが要求される。
バレエ豆知識「グラン・フェッテ」って何?
19世紀の初演時、白鳥と黒鳥は別々のバレリーナによって踊られていたが、今では一人二役となることが多い。清純で詩情に富んだ踊りを見せるオデット、グラン・フェッテなど派手な技巧を披露する魔性の女オディールの踊り分けが演技者にとっては最大の課題、また見せ所となっている。
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黒鳥オディール登場
あらすじ:王妃は候補者の中から花嫁を選ぶよう言うが、王子は拒否。するとロットバルト卿と名乗る人物が黒い衣装を身に着けた娘オディールを連れて現れる。魔術にかかった王子には、背後の鏡の中で恐怖に震えるオデットの姿が目に入らず、黒鳥オディールをオデットと信じ、永遠の愛を誓ってしまう。正体を現した悪魔とオディールは、王妃と王子を嘲笑して去ってゆく。オデットを心配する王子は再び湖畔へと走る。
見所:主役2人のウルトラC級技術に注目。オディールが見せる旋回技グラン・フェッテ、王子が披露する大きな跳躍など見所は多い。主役バレリーナが清純なオデットと悪魔的なオディールをどう踊り分けるかも必見。
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湖畔にて昇天
あらすじ:王子の裏切りにより2度と人間の姿に戻れないと知ったオデットたちは、悪魔ロットバルトの魔力に翻弄され、稲妻光る夜の湖畔で悶え苦しむ。王子は愛するオデットに許しを請うが絶望したオデットは湖に身を投じ、王子もまたそれに続く。2人の愛の強さに打たれた悪魔は力を失い、オデットと王子は死して天国で結ばれる。
見所:この幕では衣装とセット、照明効果の美しさを堪能しよう。雷光が鈍く光る夜の湖畔と、そこで群舞の白鳥たちのチュチュが醸し出す深いグラデーションの色彩美は必見。昇天シーンのセット、効果の美しさにおいて、ロイヤル・バレエ版「白鳥の湖」は、世界の様々なバーションの中でもトップ・クラスの美しさを誇っている。
バレエ豆知識「グラン・フェッテ」って何?
19世紀の初演時、白鳥と黒鳥は別々のバレリーナによって踊られていたが、今では一人二役となることが多い。清純で詩情に富んだ踊りを見せるオデット、グラン・フェッテなど派手な技巧を披露する魔性の女オディールの踊り分けが演技者にとっては最大の課題、また見せ所となっている。
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ロイヤル・バレエ団のプリマ タマラ・ロッホに聞く
5歳の時からバレエを始めた私が、生まれて初めて観たバレエ作品が白鳥の湖でした。2幕まで観た時点で既にもう「バレエって何て美しいのかしら」と、感動してしまったんです。でもまだ子供だったので、3幕になるとなぜ同じバレリーナが黒鳥になるのか、急に違う人格になってしまうのか、その時は分からなかったのだけれど。
バレリーナにとって、古典作品は一生を通じて極めていく永遠の課題。その中でも白鳥の湖は、私にとって特別な意味を持っています。女性の中に潜む2つの異なった魅力である清純さ(2幕のオデット)と邪悪さ(3幕のオディール)を表現できること、また私自身がフェッテやピルエットといった旋回技が得意なので、3幕においてそういった技を披露できる技術的な見せ場が多いことなどが理由です。
マシュー・ボーン作品については、男性ダンサーに「白鳥」という役を踊るチャンスを与えた発想が素晴らしいと思います。主役を踊る1人、トム・ホワイトヘッドはロイヤル・バレエ出身のダンサーで、実はとても仲良し。彼がどんな「白鳥」を踊るか、今からとても気になりますね。
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公演情報 ロイヤル・バレエ「Swan Lake」
2007年2月3日(土)12:00、10日(土)19:00、2月7日(水)、16日(金)、17日(土)、20日(火)、21日(水)、27日(火)19:30
Royal Opera House
Bow Street, Covent Garden, London WC2E 9DD 最寄駅: Covent Garden チケット: 4〜87ポンド Tel: 020 7304 4000 www.royalopera.org
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「バレエを観てみたいけど、楽しめるのか不安。それにまず何から観たらいいの?」という皆様。この特集では、ビギナーから玄人ファンまで大満足間違いなしの2つの「白鳥の湖」を取り上げ、ご紹介いたします。左頁は年齢を問わず楽しめる英国バレエ界最高峰のロイヤル・バレエ版。右はトレンドに敏感な若者から舞台芸術にうるさい熟年層をうならせる鬼才振付・演出家マシュー・ボーン版。それぞれのあらすじと見所をまとめたこのマニュアルを手に、是非一度劇場に足をお運びください。(茉莉・あんじぇりか) |
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