政府にしろメディアの報道にしろ、捕鯨問題となると全く見解が異なる日本と英国。ただ正直なところ、日々の生活に密着している問題ではないがゆえに、そういった対立に関する報道を目にしても「対岸の火事」みたいに捉えてしまうこともしばしばだ。私たちが本当に知りたいのは、そんなメディアが伝えない普通の人々たちの声。そうであるならば、普通の日本人と英国人の生の声を聞く「ぶぉっくす・ぽっぷ」が一番、というわけで、今回も英国ニュースダイジェスト取材班が出動し、ロンドン中心部で街頭調査を行った。さてさて、クジラを巡る普通の人々たちによる日英対決の行方はいかに?
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「ぶぉっくす・ぽっぷ」においても、捕鯨国日本と反捕鯨国の急先鋒である英国の意見の相違がくっきりと対照的に表れた。捕鯨が 日本の文化であれば、動物愛護が英国の文化。一方は 「生態系が乱れる」から反捕鯨かと思いきや、もう一方 は「生態系のバランスを守るために」捕鯨は必要と説く。 「クジラを食べる必要がない」と言えば「食べてはいけない理由がない」、「捕鯨は残酷」と来れば「鶏や豚を殺すのだって残酷」・・・・・・。双方から顰蹙(ひんしゅく)を買うのを覚悟して言うならば、まさにあー言えばこー言う状態に陥っているのがこの捕鯨論争なのだ。 圧倒的多数を占めた英国の捕鯨反対派は「クジラが 絶滅の危機に瀕している」ことを主な理由として挙げ ているが、これには「種類によっては逆に増えすぎて 生態系を乱している」との反論が待ち受けている。本来客観的な数字データで示すことが出来る生存数についてさえ、立場によって見解の大きな相違が見られる ことが13ページのインタビューで分かった。これでは、議論はすれ違っていくばかりだろう。5月17日に掲載した「『クジラを食べるな』その理由」と題した特集に対しては、「実際に捕鯨について英国人と口論に なったことがある」と書いた手紙を複数頂戴したが、 この状況を見れば頷ける。ウーム、このままいけば捕鯨問題は日英摩擦のきっかけとなるのだろう か・・・・・・。 ただいわゆる文化論はとりあえず置いといて、少なくとも捕鯨活動がクジラとその周りを取り囲む環境に どのような影響を与えているのか、という問題については判断を誤れば深刻な結果を生むことになるはず。 人間同士の言い争いを知ったら、クジラは一体何て思うのだろう?