Bloomsbury Solutions
Sun, 22 December 2024

異文化相互理解を深めるための ビジネス文化塾

日本人と英国人が、一つの職場で働く際の問題点とその解決方法を指南する

グレアム・ロレンス グレアム・ロレンス Graeme Lawrence 30年間の日系企業勤務、異文化コンサルタントを経て、現在社内通訳者・翻訳者。静岡県立大学国際関係学部卒。2019年のSOASビジネス日本語スピーチ・コンテスト優勝。
www.graemelawrence.com

第9回 えー! 15分でこれを理解しろって無理だー(泣)

会議の直前に、大量の英文資料が送られてきた経験はありませんか。「もっと前にくれればいいのに」とため息をつく多忙な日本人駐在員は少なくないでしょう。英語が大好きな方なら別に問題ないかもしれませんが、誰もが英語が得意なわけではありません。仕事で通訳を手掛ける著者も、目を通したことのない提案書などをいきなり出されると苦労するので、日本人ビジネスパーソンのお気持ちはよく分かります。

できるだけ前もって資料を提示することは相手が誰であれ当然の礼儀だと思いますが、英語を母語としない日本人の場合、これはなおさら重要だと私は英国人に説明します。英語が世界のビジネス共通語のため、大抵の英国人は英語以外の言語で書かれているパワーポイントの資料など、読む機会も必要もありません。日本人のビジネスパーソンのように外国語のプレゼンテーションを短期間で読まなければならない体験がないゆえに、日本人の苦労に鈍感かもしれません。もしこの問題でフラストレーションを感じているなら、英国人の同僚や部下に以下のことを話してはいかがでしょうか。

①大量な英文を読むことは時間がかかり、労力を要する
②会議で活発で有用な議論をするためには事前に資料の内容を十分に把握する必要がある。その時間が与えられないと、資料作成者が望む会議結果はおそらく出ない
③英文の資料内容を熟知しないうちに、プレゼン資料に基づいて突然ブレインストーミングを求められても無理

結局、これは外国語に対する意識の低さと共に、気配りの問題でもあるように思います。つまり、急に大量の英語資料を送ってしまうと、それを受け取る相手は困るという配慮が足りませんね。「忙しいから、会議間際にならないと送付できない」と反論する英国人はいるかもしれませんが、「プレゼン資料は会議の2日前に提出すること」のようなルールを社内で設けた方が良いでしょう。日本人駐在員の不満を聞いて初めて気づく英国人もいます。このコラムで以前にも触れましたが、日本人と英国人がお互い自分たちの懸案や要望を相手側に伝えない限り改善は見込めないし、それらを実際に伝えてみて「なるほど! それは知らなかった」という場合も意外と多いです。

さて、ブレインストーミングについてさらに言うと、「日本人はブレインストーミングが不得意で会議の場ではあまり発言しないので、本当に能力があるか判断できない」という指摘が異文化コミュニケーション研修の際によくあります。私は数多くの優秀な日本人技術者や研究者と一緒に働いたことがあるので、彼らがそう思われてしまうことを非常に残念に思います。日本の教育や社内の上下関係など文化的要素もありますが、そのコメントを聞くと、私は「事前に準備する時間を十分にくれないから!」と英国人にまず言いたくなります。

また、ブレインストーミングのまとめ役は日本人参加者のスピードに合わせて会議進行をしないと、日本人の発言する機会が少なくなりフラストレーションが溜ることもあります。よって、日本人のコミュニケーション形式を理解するまとめ役がベストです。あなたの会社の英国人スタッフはそれを意識していますでしょうか。

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