子どもに関するマネー事項
子どもを育てるにはお金がかかるものです。政府からのサポートはあるのでしょうか。教育資金の効率のよい積み立て方法は?万が一のときに家族の生活を守る保険は?さまざまな疑問が湧いてきます。今回は子どもに関するお金を考えてみましょう。
子どもが生まれました! 政府からのサポートはあるのでしょうか。
英国にはChild Benefitという子ども福祉給付金制度があり、英国居住者で16歳未満か、20歳未満の一定の教育を受けている子どもがいる方(世帯)は、通常受給資格があります。本税年度の支給金額は第1子につき週24ポンド(月104ポンド)、第2子からは1人週15.90ポンド(月68.90ポンド)で非課税です。受給資格の有無の確認や申請手続きはChild BenefitHelpline(Tel: 0300 200 3100)やwww.gov.uk/child-benefitにて確認しましょう。また申請者は国民年金受給権であるNational Insurance(NI)creditsを自動的に得ることになります。なお、所得が年5万ポンドを超えますと、当給付金は徐々に減額されますのでご留意ください。
私の所得は5万ポンド以上なので、申請する意味はないですか。
ご夫婦どちらかの所得が5万ポンドを超えると徐々に給付金が減らされ、6万ポンドを超えますとゼロになってしまいます。具体的にはTax Return(確定申告)によりChild Benefit Tax Charge(児童手当課税)を払うか、福祉事務所にて給付手続き停止の手続きを取ることになります。申請しなくても経済的には同じなのですが、申請することによりNI クレジットを得られることがポイントとなります。配偶者に所得がない場合、NIコントリビューションを払いませんので国民年金受給権はありません。Child Benefitを申請するとNIクレジットが得られますので、国民年金の受給権につながります。
子ども用の銀行口座は開設できますか。
はい、ほとんどの銀行が子ども用の口座を提供しており、通常18歳になると大人用の口座へ振り替えられるようです。デビット・カード付きのCurrentAccount( 決済用口座)と金利が付くSavingsAccount(預金口座)を提供しています。開設には両親や後継人と、子どものID(パスポートと住所証明用の公共料金の請求書など)を持参し銀行に出向くようです。すでに親の口座がある銀行は開設手続きがシンプルなようです。
金利が比較的高い子ども貯蓄口座
銀行名 | 期間 | 金利 | 最低・最高年齢 |
---|---|---|---|
HSBC My Savings | なし。 出し入れ自由 |
£10- £3000: 5% Over £3000: 2.25% |
7~17歳 |
Halifax Kids’ Saver | なし。 出し入れ自由 |
£1- £5000: 3.4% Over £5000: 1.45% |
0~15歳 |
Yorkshire Building Society One Day | なし。 出し入れ自由 |
From £10: 4.55% | 0~21歳 |
子ども向け非課税貯蓄口座などはありますか。
非課税口座のJunior ISAが9000ポンド(2023/24年度)まで利用可能で、口座内で受け取る利子は非課税です。両親、祖父母、友人などからJunior ISAへ送金しても譲渡者への所得税課税はありません。預金や運用商品を活用できるなど内容はほぼAdult ISAと同様ですが、18歳まで資金の引き出しができません。18歳になるとAdult ISAに振り替えられ、子どもが引き出すことが可能になります。
Junior ISA – 預金口座例
銀行名 | 金利タイプ | 金利 | 開設方法 |
---|---|---|---|
HSBC My Savings | 変動 | 4% | オンライン、電話 |
Halifax Kids’ Saver | 変動 | 4% | オンライン |
Yorkshire Building Society One Day | 変動 | 3.65% | オンライン、電話 |
学資保険に興味があります。類似商品はありますか。
Friendly Societies(友愛組合)が学資保険に類似する生命保険付投資プランを提供しています。ただ、月25ポンドが上限なので広範に利用されているとはいえません。そもそも学資保険は、定期生命保険と貯蓄プランを合わせた商品です。英国では貯蓄と保険をそれぞれ競争力のある別々の商品にて行うのが一般的です。例えば貯蓄・運用は非課税口座ISAで行い、生命保険は割安な保険料の掛け捨て型保険に加入するということです。
私が死亡した場合の家族の生活を支える保険を紹介してください。
通常、生命保険金は死亡時に一括で支払われます。ただ、残された家族がいきなり多額の保険金を運用するのは難しいかもしれません。子どもが成人するまで毎年決まった生命保険金を受け取られたら安心だと思われる方も多いと思います。Family IncomeBenefit(年金型定期生命保険)がそれに該当する保険です。
保険期間中に被保険者が死亡した場合、満期まで毎年決まった保険金が非課税で支払われます。下記をご参照ください。例えば、本人が35歳で子どもが0歳時に25年満期(子どもが経済的に独立するような年齢)の保険に加入します。保険金が年2万5000ポンドですと保険料は月約17ポンドです。本人が50歳で死亡してしまった場合、その時点から10年間(子どもの年齢15~25歳)毎年2万5000ポンドが支払われます。なお、保険金は長い保障期間中の貨幣価値を守れるよう、インフレに乗じて上昇するよう設定できます(保険料も上昇します)。
Family Income Benefit 保険料の例(保障期間25年)
被保険者の年齢 | 保険金:£2万5000(年) 保険料(月) |
保険金:£4万(年) 保険料(月) |
---|---|---|
35歳 | £17 | £25 |
40歳 | £24 | £36 |
当コラムは2023年11月時点の法制と税制に基づき一般的なガイダンスのために作成されており、皆様のご理解を深めるために内容を簡素化してある場合もあります。専門家の助言なしに記載情報にのみ基づき行動することはお控えください。その場合、筆者は一切責任を負いません。投資助言を含まない税務助言はFCAに規制されていません。
※ 次回のマネー教室は2024年2月15日号に掲載致します。本コラムのバックナンバーはこちらからご覧ください