20世紀の工業文明をアートと融合させたシュルレアリスト
エドゥアルド・パオロッツィの作品巡り
Trail of Eduardo Paolozzi
エドゥアルド・パオロッツィ(1924~2005、写真左)は、20世紀後半に英国で活躍した彫刻家。イタリア系移民の息子としてスコットランドに生まれ、エディンバラ・カレッジ・オブ・アートなどで学んだ。パリでは彫刻家ジャコメッティやブランクーシと交流、のちに英国王立芸術院(RAA)の会員となった。人体や有機物のモチーフに幾何学的な立方体を組み込んだ作品で知られている。今回は、ロンドン各地で彼の作品が観られるスポットを紹介しよう。
(文・写真: Miki Yamanouchi)
Eduardo Paolozzi Exhibition
エドゥアルド・パオロッツィ展
創造と革新に満ちた作品で20世紀のアートを牽引したパオロッツィは、シュルレアリストとして彫刻を、ポップアート運動の先駆者としてコラージュやプリントを創作。1950年代から半世紀にわたる創作活動の中から250点以上を展示する大回顧展がこちら。野趣あふれる初期の彫刻から、デジタル化されたポップなデザイン作品までを網羅する。
2017年5月14日(日)まで
料金:£11.95
火~日11:00-18:00(木 は21:00まで)
Whitechapel Gallery
77-82 Whitechapel High Street, London E1 7QX
Tel: 020 7522 7888
Aldgate East駅
www.whitechapelgallery.org
Mosaic Murals
モザイク壁画、1986年
パオロッツィがドイツで教鞭を執っていたころ、ミュンヘンのアトリエでデザインを考案したという。トッテナム・コート・ロード駅の再開発に伴いモザイクの一部がエディンバラ大学に移動されたが、落成した際、セントラル線の出入り口やノーザン線のブラットフォームなどに復元された。このエリアにある電気街の賑やかでガチャガチャした感じを表したものだそうだ。
Tottenham Court Road駅
(ノーザン線のプラットフォームとセントラル線の出入り口付近)
Oxford Street, London W1D 2DJ
Piscator
ピスカトール、1981年
プロレタリア演劇運動の旗手として活躍したドイツ人舞台演出家、エルビン・ピスカトールへのオマージュとして建立された。ブリティッシュ・レールの委任により作られたが、現在のところ、駅管理者も周辺ビルのオーナーも作品の所有権を否定。所有者の承諾なしには清掃維持ができないパオロッツィ財団が困惑しているという曰いわく付きの彫刻だ。
Euston駅前
Euston Road, London NW1 2RT
Newton After Blake
ブレイク後のニュートン、1997年
大英図書館の中庭で巨大な体を折り曲げ、コンパスで幾何学模様を地面に描く男、ニュートン。19世紀の詩人 / 画家ウィリアム・ブレイクが、科学主義のニュートンを風刺した版画がモチーフとなっている。版画に登場する姿形を基に、パオロッツィ独特の機械と人体が融合したような、力強い彫刻が生み出された。
The British Library
96 Euston Road, Kings Cross, London NW1 2DB
Tel: 0330 333 1144
Kings Cross St.Pancras駅
www.bl.uk
Head of Invention
創造する頭、1989年
「人間の知能と道具による創造は、自然がもたらす創造にはかなわない」というダ・ビンチの言葉が刻まれた巨大な頭部。顔部分は印刷機のように文字が縦横に挟まり、後頭部に回ると、機械に置き換えられた脳が見える。長らくテムズ川沿いにあったが、デザイン・ミュージアムの移転に伴い、ケンジントン地区に引っ越しとなった。
The Design Museum
224-238 Kensington High Street, London W8 6AG
Tel: 020 3862 5900
High Street Kensington駅
https://designmuseum.org