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Tue, 08 October 2024
イギリス・ロンドンのイベント紹介

グローブ座でシェイクスピア作品を観よう Summer Season 2024

Globe Theatre

ロンドンのバンクサイドで異彩を放つ、茅ぶき屋根の円形劇場シェイクスピア・グローブ座では、現在毎年恒例のサマー・シーズンが開催中。本特集でエリザベス朝時代をおさらいをしたら、シェイクスピア作品を観てはいかがだろうか。10月まで順番に上演される6作品を紹介する。

シェイクスピア・グローブ座とは

Globe Theatre

シェイクスピアが活躍したエリザベス朝時代を今によみがえらせる、茅ぶき屋根の円形劇場。もともとは1599年にロンドンのバンクサイドに建てられ、座付き作家であったシェイクスピアの数々の名作の初演が行われたことで知られる。しかし、1613年に「ヘンリー8世」の舞台を上演中、小道具の大砲が茅ぶき屋根に燃え移り全焼。再建後1642年にもピューリタン革命の影響で閉鎖を余儀なくされたが、1997年、約400年の時を経てほぼ同じ場所に当時の姿で忠実に再現された。円形の建物の中央は当時と同じく平土間となっていて、屋根がない。そのためここで舞台を観る人は席もなく、雨が降れば濡れる立見席。それでも当時の雰囲気を楽しめるとあって人気が高い。グローブ座では現在、毎年4~10月にかけて、シェイクスピア作品を上演する「サマー・シーズン」のほか、グローブ座の歴史を紹介してくれるツアー(4~10月)もある。


Shakespeare's Globe
21 New Globe Walk, London SE1 9DT
Tel: 020 7401 9919
料金: £5〜75(Rough Magicは£15〜30)
最寄り駅: London Bridge / Blackfriars
www.shakespearesglobe.com

Much Ado About Nothing
「空騒ぎ」 2024年4月25日(木)~ 8月24日(土)

Much Ado About Nothing

2組の恋人同士が、策略や勘違いなどさまざまな試練を乗り越えて結ばれる、シェイクスピア中期のロマンチック・コメディー。名誉や侮辱、宮廷政治のあれこれといったこの時代ならではの道徳や風習が散りばめられた作品で、階級も立場も異なる2組のカップルのストーリーが平行して進んでいく。強くて自立した女性ベアトリスの毒舌ぶりが見もの。演出は、斬新な手法で人気の高いショーン・ホームズ。日本で2023年に「桜の園」と「リア王」を手掛けた演出家としても知られている。

Richard lll
「リチャード三世」 2024年4月9日(木)~ 8月3日(土)

リチャード三世

バラ戦争の渦中にある15世紀のイングランドを舞台に、王位継承のために兄や政敵を次々に亡き者にしていくヨーク家のリチャードを描いた歴史劇。生まれながらの不具であることに加え、残忍で狡猾だが機知に富み皮肉家な役柄であることから、俳優にとってはシェイクスピア劇の中でも「やりがいのある役」の一つとして人気が高い。今回は芸術監督のミシェル・テリーが主役を兼任。ただリチャード3世は側弯症だったこともあり、主役は体に障害を持つ俳優がやるべきとの声もあった。

The Taming of the Shrew
「じゃじゃ馬ならし」 2024年6月6日(木)~ 10月26日(土)

じゃじゃ馬ならし

気性の激しい女性をその婚約者があらゆる方法で「調教」し、ついには貞淑な妻に変身させるという、見もふたもないストーリーが展開するシェイクスピア初期のコメディー。現代においては女性蔑視といわれても仕方のない物語が、どのように演出されるのか興味深い。この作品は発表当時すでに過激な展開を心配する批評家もいたほか、ヴィクトリア朝時代の劇作家、ジョージ・バーナード・ショーも「まともな感情を持った男だったら、最後まで女性と一緒に観る勇気はない」と発言している。

Antony & Cleopatra
「アントニーとクレオパトラ」 2024年8月4日(日)~ 9月15日(日)

アントニーとクレオパトラ

ローマは男性が統治する帝国で、エジプトは女性が統治する王国。ローマの将軍アントニーはエジプトの女王クレオパトラに恋をし、2人の情熱が世界の秩序を混乱させ、何千もの命を危険にさらしていく。シェイクスピアが哲学者プルタルコスの「英雄伝」を基に描いた歴史劇。今回は話し言葉と手話を使った画期的なバイリンガル作品となっている。クレオパトラを演じるのは、「お気に召すまま」でセリアを、「ハムレット」でギルデンスターンを演じた聴覚障害のある俳優ナディア・ナダラジャ。

The Comedy of Errors
「間違いの喜劇」 2024年8月21日(水)~ 10月27日(日)

間違いの喜劇

幼少のころ生き別れになってしまった双子の兄弟と、その2人に仕える双子の召使いが巻き起こす騒動を描く、楽しいドタバタ・コメディー。シェイクスピア劇の中で最も短い作品の一つだ。1594年12月28日に、ロンドンのグレイズ・イン法学院で演じられたのが初演とされている。双子のアンティフォラス兄弟と、その召使いで同じく双子のドローミオ兄弟。兄弟は敵対する国にそれぞれ分かれて暮らしていたが、あるとき弟たちが兄を探すため兄の住む国へ行ったことから混乱が巻き起こる。

Rough Magic
「ラフ・マジック」 2024年7月20日(土)~ 8月24日(土)

ラフ・マジック

シェイクスピア作品ではないが、「マクベス」の登場人物である3人の魔女を主人公に心躍る冒険を描いた、家族そろって楽しめる夏休みならではのステージ。歌あり踊りありで観客たちも客席から参加できる。ほかのシェイクスピア作品からの引用なども多いので、子どもはもちろんシェイクスピア初心者にもぴったり。オリヴィエ賞にノミネートされた「ミッドサマー・メカニカル」に続き、グローブ座とスプレンディッド ・プロダクションズが手を組んだ上質の家族向けステージが展開する。本作品はグローブ座敷地内の別会場サム・ワナメイカー・プレイハウスで上演。ジェームズ1世時代の劇場をモデルにした小さな屋内劇場だ。

2024年9月13日(金)〜10月26日(土)には、劇作家で俳優のアン・オデックによる新作「Princess Essex」(「プリンセス・エセックス」)がサマー・シーズンを締めくくる。エドワード王朝時代にビューティー・コンテストに出演した黒人女性を主人公にしたコメディーで、オデックが主役を演じる。
 

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