ロンドンで30年間監禁された女性3人を救出
容疑者は毛沢東思想主義の共同体運営者
約30年にわたり奴隷状態に置かれていた3人の女性が救出された共同住宅
ロンドン南部ブリクストンの共同住宅で「奴隷」として約30年にわたり監禁されていた3人の女性が、10月末に救出されていたことが分かった。女性たちは深刻な精神的外傷を抱えた状態にあるという。11月21日にBBCなどが報じた。
ロンドン警察の発表によると、救出されたのは、69歳のマレーシア人女性、57歳のアイルランド人女性、30歳の英国人女性の3人。被害者の一人から連絡を受けたチャリティー団体が警察に通報したことで、事件が発覚したと伝えられている。
警察は11月21日、本件に関してインド系の夫(73)とタンザニア系の妻(67)を逮捕。その後2人は保釈されている。「イブニング・スタンダード」紙によると、この2人は長年にわたり毛沢東思想に影響を受けた共同体を運営。今回の事件が発覚する以前から警察や治安当局がその存在を認識していたという。
被害者の一人である英国人女性は、この共同体の中で生まれ育ったと見られている。この女性が、同じ住宅に住む男性に数百通もの手紙を送っていたとの報道もある。
国家犯罪局の調査によると、英国で2012年に人身売買の被害者であるとの疑いが持たれた人数は2255人。被害者の中にはルーマニア、ポーランド、ナイジェリア、ベトナム、ハンガリーなどの国籍を持つ者が多く含まれているとされ、全体の4分の1を児童が占めるという。また同調査は、被害者の多くが性的搾取または労働搾取の対象になっていると報告している。
ロンドン南部監禁事件で報じられた詳細
1. 容疑者は毛沢東思想主義者?
容疑者の2人は以前から毛沢東思想主義者として広く知られていた。約40年前にロンドン南部に「毛沢東メモリアル・センター」と名付けた拠点を置き、共産主義思想に関する運動を行っていたと伝えられている。
2. 被害者のアイルランド人女性は暗号解読者の娘?
被害者の一人であるアイルランド人女性は、第二次大戦中にナチス・ドイツが使用していた暗号機「エニグマ」の解読などを行う英政府機関に所属していた暗号解読者、故ジョン・ヘリヴェル氏の娘であるとされる。
3. 被害者の英国人女性は謎の死を遂げた女性の娘?
1996年、容疑者が運営する共同体で暮らす女性が、家のバスルームの窓から落下して死亡。生まれたときから監禁状態に置かれていたとされる英国人女性は、転落死したこの女性の娘と見られている。