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Sat, 21 December 2024

小林恭子の
英国メディアを読み解く

小林恭子小林恭子 Ginko Kobayashi 在英ジャーナリスト。読売新聞の英字日刊紙「デイリー・ヨミウリ(現ジャパン・ニュース)」の記者・編集者を経て、2002年に来英。英国を始めとした欧州のメディア事情、政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。著書に「英国メディア史」(中央公論新社)、共著に「日本人が知らないウィキリークス」(洋泉社)など。

The Times
化学兵器使用は不問にできない

今の英国には軍国主義的な雰囲気などかけらもない。多くの人々は、中東での紛争にはもう巻き込まれたくないと思っている。だから好戦的であるとして政府閣僚を非難するのは間違いだ。むしろ本紙は、シリアで起きている絶望的な現実に直面することを世界が避けてきたと考える。10万人以上が殺され、何百万人もの難民を生み出し、近隣諸国が不安定化するのをただ見守ることを国際社会は選んだのだ。だが、化学兵器の使用を不問に付すことはできない。(8月28日)


The Guardian
英国の政治への評価にも危険が

イラク戦争から10年が経過した今、英国によるシリア問題への介入に国民が懐疑的になるのは当然だ。ブレア元首相はイラクへの介入で議会を説得できたかもしれないが、やがて議会の信用を失った。イラク戦争を通じて英国の政治は著しく傷付いたのだ。政治家や議会関連機関が軽蔑の対象となったのはイラク戦争以後と言っていいだろう。キャメロン首相はシリア問題に介入することで、自身だけではなく、英国の政治への評価をも危険にさらしているのだ。(8月27日)


The Independent
以前にも似た経験をした

以前にも似た経験をしたことがあったではないか。西洋諸国の首脳は、国際連合による調査を待たず、ロシアと中国を話し合いの場に本気で参画させようともしないままで新たな冒険に出たいとの誘惑に屈してしまうのか。キャメロン首相がイラク戦争から教訓を得て、そして生かすと信じたい。その教訓とは、国連による調査の結果を待ち、国際社会の合意を得るように努め、中東地域への影響を考慮し、軍の幹部の意見や世論に耳を傾けよ、というものである。(8月27日)

 

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