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Sat, 28 December 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

南アフリカのネルソン・ マンデラ元大統領死去

The Times
「タイムズ」紙 12月6日

ガンジーに匹敵する影響力

マンデラ氏は4000万人ものアフリカの人々を恐るべき抑圧から解放した。また彼は、世界中のあらゆる世代の人々を、アフリカの苦闘を自身の問題として受け止めようという気にさせた。言わば、彼はこの世界をより身近な場所へと変えたと同時に、可能性を広げてみせたのである。彼の政治的リーダーシップがアフリカに与えた影響は、ガンジーがインド亜大陸に与えたものと匹敵する。そして道徳面における世界への影響力は、ガンジーよりも大きいかもしれない。


The Guardian
「ガーディアン」紙 12月6日

珍しく汚点のない人物

非植民地化運動を率いる指導者たちには、勇敢かつ先見の明がありながら、虚栄心が強く、腐敗し、無能または公約を守ることのできない者が多くいた。しかし、生来の性格と一連の出来事によって、マンデラ氏は珍しく汚点のない人物となった。彼のリーダーシップの下で生きた南アフリカの黒人住民などは幸運だが、白人住民は幸運の一言で片付けることはできないだろう。彼らはマンデラ氏をきちんと評価できなかった。そんな彼らでさえマンデラ氏は許したのである。


The Independent
「インディペンデント」紙 12月6日

ビスマルクの鉄血演説は誤り

人間は巨悪をつくり出す一方で、克服できない悪はないことを証明するような人々を輩出する。血塗られた20世紀において、マンデラ氏ほど卓越しており、記憶に残る人物はいない。これまで様々な人種間の分裂が惨事を引き起こしてきたが、マンデラ氏はそうした状況を平和的に解決できることを示した。そして統一ドイツ首相のビスマルクが残した「大きな問題の解決は鉄と血によってのみなされる」という言説が誤りであることを証明したのである。


 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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