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Mon, 23 December 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

次期欧州委員会の人事案

The Times
「タイムズ」紙 9月11日

ヒル氏の課題は山積

欧州委員会の金融安定・金融サービス・資本市場同盟担当に指名され、欧州で最も影響力のある英国人となったヒル氏だが、課題は山積している。ユンケル次期委員長は金融市場の統制強化を指示しているが、ヒル氏はシティの金融規制に反対の立場にある。また経済・通貨担当委員となるフランスのモスコビシ氏は、英国が反対する金融取引税を擁護すると見込まれている。ヒル氏は、英国にとっての利得が欧州全体の利得となるということを証明しなければならない。


The Daily Telegraph
「デーリー・テレグラフ」紙 9月11日

喜ぶのは尚早だ

欧州委員会の巧みな駆け引きの結果、意外なことに英国のヒル氏が同委員会の金融担当に推薦された。とはいえ、喜ぶのは尚早だ。ロンドンの金融街シティの活動を制限する試みを阻止する、より強力な権限を得たとはいえ、金融サービスに対する欧州連合(EU)の方針は依然として脅威である。さらに今回の決定は、不満を示す社会党及び緑の党の議員がいる欧州議会の承認を待つ必要がある。彼らはEUによる銀行のボーナス上限規制や金融取引税の導入を望んでいる。


The Guardian
「ガーディアン」紙 9月10日

絶妙な人事を行った

ユンケル次期委員長は評判通りの手腕を発揮し、バランス感覚に優れた絶妙な人事を執り行って見事なチームを編成した。各委員とも経験豊かで真摯な実力者。2年前にEUが直面し、いまだ部分的にしか解決できていない欧州債務危機から学んだ人選とも言える。シティの将来を懸念する保守党とキャメロン首相の立場を考慮した上でヒル氏を金融担当に指名するなど、各国の最重要問題に関わるポストに当該国の代表をあてがう委員長の采配は非常にスマートだ。


 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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