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Fri, 27 December 2024

知って楽しい建築ウンチク
藍谷鋼一郎

国家によるインターネット監視


The TimesTHE TIMES
取り締まるべきは思想でなく行動

Britain is a country that polices actions, not thoughts

犯罪やテロ活動を取り締まるために、自由が制限されることはある。英国では許可なしで武器を所有する自由がなくなって久しい。また近年では、荷物検査と引き換えに速やかに飛行機に搭乗する自由を我々は失った。だが国家によるインターネットの監視を許せば、インターネット上のプライバシーという概念が根本的に覆ってしまう。イランや中国のように、その種のプライバシーを尊重しない国もある。しかし英国は、行動を取り締まることはあっても思想を統制する国ではない。(4月3日)


The GuardianThe guardian
知は力なり、そして権力は腐敗する

Knowledge is power, and power corrupts

警察は長らく、容疑者の電話の通話記録を調べて重要な証拠を集めてきた。だから普及が進んだインターネットも同様に監視の対象とすべきとする見方がある。だが電話の通話記録とインターネットは違う。前者では会話の内容まで立ち入らなければプライバシーは守られるが、後者においてはどのウェブサイトを閲覧したかが判明すれば閲覧者の趣味嗜好や病歴までもが露わになる。「知は力なり」と言う。そして権力は腐敗する。官僚に他人の生活を監視する権限を与えて良いわけがない。(4月2日)


The IndependentThe Independent
監視行動が習慣化してしまう

Surveillance will become the rule

インターネット上の膨大なデータを集めて保管するという作業は言うほど簡単ではない。またそのような仕組みができたとして、誰が開発費用を払うというのか。集めた情報がハッカーの標的にされたり、関係者から漏えいしたりする可能性もある。これまで監視活動を行うのは、裁判所がそうするだけの十分な理由があると認めた場合のみに限られていた。しかし国家によるインターネットの監視が可能になれば、監視行動は例外的措置ではなく、習慣になってしまうことを意味する。(4月3日)


 

藍谷鋼一郎:九州大学大学院特任准教授、建築家。1968年徳島県生まれ。九州大学卒、バージニア工科大学大学院修了。ボストンのTDG, Skidmore, Owings & Merrill, LLP(SOM)のサンフランシスコ事務所及びロンドン事務所で勤務後、13年ぶりに日本に帰国。写真撮影を趣味とし、世界中の街や建築物を記録し、新聞・雑誌に寄稿している。
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