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Sun, 22 December 2024

Frenzy / フレンジー

映画の舞台裏を捜査する!特捜シネマ刑事
第29回

Frenzy(1972 / 英)
フレンジー

仕事をクビになったブレイニーは元妻のブレンダに会いにいくが、その直後、ブレンダが、ロンドンを震撼させていた「連続ネクタイ殺人」の犠牲者となり……。

今週のロケ地

監督 Alfred Hitchcock
出演 Jon Finch, Barry Foster, Barbara Leigh-Huntほか
ロケ地 コベント・ガーデン・マーケット
アクセス 地下鉄コベント・ガーデン駅から徒歩

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  • 今週は、ご存知サスペンスの神様、アルフレッド・ヒッチコック監督が最後から2番目に手掛けた作品「フレンジー」です。
  • 1940年代以降、米ハリウッドに活動の場を移していたヒッチコック監督が、久しぶりに故郷の英国に戻って製作した作品ですね。1964年公開の「マーニー」以来、いまひとつ精彩を欠いていたヒッチコック監督ですが、この「フレンジー」で持ち前の切れ味を取り戻したと評判になりました。
  • うん、ほんと演出が冴えてるよなー。テムズ河〜Tower Bridgeの空撮→河岸でのテムズ河クリーン・キャンペーンの演説→河岸に流れ着く全裸の絞殺死体と、冒頭から引き込まれるね。
  • 同監督は自身の作品に数多くカメオ出演していることでも有名ですが、この冒頭のシーンにも登場していますね。演説に拍手する聴衆の中で黒い山高帽を被り、一人むっつりとした表情を浮かべています。その後、死体を遠くから見物している人たちの中にもしっかり紛れてますね。
  • そして舞台はコベント・ガーデンに移ります。まずは主人公のブレイニーが勤務先のパブをクビになるシーンですが、こちらはBow Street 37番地にある「Globe」というパブで、現在も営業しています。さらに、職を失ったブレイニーは別のパブへと足を運びますよね。後から入ってきた2人の男性が、カウンターでネクタイ殺人について噂するシーンですが、これはCatherine Street 29番地の「The Nell of Old Drury」でして、こちらもいまだに健在です。
  • 映画の中に出てくるパブとかカフェって、とりわけ行ってみたくなるよな。撮影当時から全然変わっていなかったりすると、ひときわ感動も大きかったりして。一方で、界隈の街並みが移り変わっているのを見るのも楽しいんだが。
  • はい、今ではブティックやカフェが並ぶコベント・ガーデン・マーケットの、かつての様子が見られるのも興味深いですよね。当時ロンドンの三大生鮮市場といえば、カナリー・ワーフのBillingsgate魚市場、シティのSmithfield肉市場、そしてここコベント・ガーデンの青果市場でした。この青果市場は1974年から、ヴォクソール近くのNine Elmsに引っ越しまして、「ニュー・コベント・ガーデン」の名で再オープンしています。
  • 40年近く前の作品ですから変遷は著しいですよね。ブレイニーの元妻ブレンダが経営する結婚相談所はオックスフォード・ストリートから脇に入った小道にあったんですが、今ではこの小道が建物でふさがれてしまっていて、靴店の「Clarks」が入っています。ブレンダのオフィスに向かうブレイニーが大通りからこの小道に入る際、背後に映っている鉄細工のアーチが、同店のエントランス上部に今も残っていますね。
  • そう言えば、後にブレイニーがバーバラと落ち合って「オスカー・ワイルド夫妻」なんていうふざけた名前でチェックインするのはベイズウォーターにある「Coburg Hotel」だけど、このホテルは今、Hilton Hyde Parkになってるね。
  • そうですね。こぢんまりしたロビーは今もそのまま残っているようですが。さらに、警察に追われるはめになったブレイニーを助ける旧友のミリガン夫妻が泊まっているのは、メイフェアのHilton Park Laneです。こちらは1975年にIRAのテロのターゲットになったホテルとしても知られています。

デカ長、物申す
さすが復活作と呼ばれているだけあって、緊迫感溢れる、そしてシーンごとに余韻が残る印象的な演出がお見事。早い段階で犯人を明示するという、刑事コロンボ的な倒叙形式の展開も個人的には好みだな。ヒッチコック監督というと、ちょっとトボけた笑いのセンスも持ち味だけど、本作でもオックスフォード刑事と奥さんの食卓のシーンを始め、所々にユーモアのスパイスが効いていて、思わずニンマリしちゃうよ。言うまでもなく、非常に洗練されたサスペンスだね。

 

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