第6回 日没後のロンドンの撮り方
~ISO感度とは? (2)
前回はISO感度の「高い」「低い」の違いについて述べました。ISO感度を低め(100)に設定すると高画質の写真が得られますが、撮影状況が暗くなると、シャッター・スピードはそれに応じて遅くなっていきます。逆にISO感度を高め(800/1600)に設定すると、低感度設定時に比べ画質は劣ってきますが、シャッター・スピードは速くなります。日没時などで周りが暗いのに三脚を持ち合わせていない場合には、高感度設定が「手ブレ」を防ぐのに効果的だということです。
高感度設定での高速シャッターを利用して撮影されることが多いのが、スポーツ・シーンや車など動きの速い被写体。これらの被写体を流れることなく的確に止めて撮影するために、「何百分の1秒」という高速のシャッター・スピードが必要になってくるからです。
感度を変えることで、「表現方法」も変わってくる例を紹介します。写真1ではISO感度を100に設定していますが、日没後なのでシャッター・スピードは日中に比べ格段に遅くなります。ここではこの「シャッター・スピードの遅さ」を利用して、「車の流れ感」を表現しました。ヘッド・ライトやテール・ランプの光の線が、肉眼では見えない効果を生み出しています。写真2では高感度に設定して撮影しているのでシャッター・スピードが速く、走っている車も止まったように写ります。このように同じ風景を撮影しても、感度設定やシャッター・スピードを変えるだけで、受ける印象がかなり変わってくるのです。
(写真1) 日没後、エンバンクメント駅付近の陸橋よりビッグ・ベンを眺む。
ISO感度100/シャッター・スピード1秒
(写真2) ISO感度1600/シャッター・スピード1/40秒
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