第21回 ガラリと変わる佇まい
~色調整に挑戦する(1)
暗室で現像・焼き付け作業が行われる、従来からある白黒(モノクロ)プリント、中でも特に昔の写真には、セピアがかったものがよく見られます。これは、初期のプリント薬品では退色が起こりやすかったため、調色を施して保存性を高めていたことに起因します。しかし時代とともに薬品や印画紙(写真を焼き付けるプリント専用紙)の生産技術が向上し、調色を行わなくても白黒本来の色を保てるようになったことで、「保存」という意味での調色工程は徐々に省かれるようになっていきました。けれども実際には、調色された写真が醸し出す何とも言えないノスタルジックな雰囲気に魅せられ、今も多くの人がその作業を楽しんでいます。
昨今では、カメラ本体の撮影モードを調整したり、コンピューター・ソフトの「フォトショップ」やデジタル・カメラの付属ソフト(撮影後にリタッチなどが行えるもの)を使用したりすることによって、カラー写真を白黒やセピア色などに容易に変換できるようにもなりました。
今回例に挙げた写真は、すべて撮影後に、コンピューター上でカメラの付属ソフトを使って色を調整しています。まず初めに、普段通りにカラー写真を撮影します(写真1)。次に、ソフトのメニュー内にある「彩度」のダイヤルを0(ゼロ)にし、撮影したカラー写真を白黒に色変換します(写真2)。その後、同じくソフト上の「RGB(Red/Green/Blue)」チャンネルを使い、自分の好みの色に調整していきます。今回は赤味と黄味を強め、セピア色に調整しました(写真3)。
このとき鍵となる、RGBの3つの色を「光の三原色」と呼び、写真の場合、すべての色はこの3色の組み合わせにより作られます。「光の三原色」については次回ご説明したいと思います。
(写真1)ケンブリッジにて。撮影したままのカラーの状態
(写真2) 「彩度」をゼロにし、カラーから白黒に置き換える
(写真3) 写真2より赤味と黄味を強めてセピア色にする
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