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Fri, 20 December 2024

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第20回 イメージに合わせて背景を操る
~夜景をバックに人物を撮影する(2)

前回に引き続き、「夜景をバックにした人物撮影」についてお話ししたいと思います。前回もご説明しましたが、夜間の撮影の際には、三脚は重要なツールになります。

写真1は、完全に日が沈んでから撮影したものです。カメラは三脚に据え、フラッシュは使っていません。夜間は日中に比べて光の量が少ないことから、十分な光を取り込むためにシャッター・スピードは日中より遅くなります。そのためシャッターが開いている間は、モデルにはじっとしていてもらわなければなりませんが、背景の人たちは常に動いているので、被写体以外の人たちの軌跡が写る、面白い効果も得られます。全体の雰囲気はどうでしょうか。シャッター・スピードを遅くして光を取り入れ、画面全体を明るくしているため、空は日中のように明るく写り、夜の雰囲気はあまり出ていません。

写真2ではシャッター・スピードを1より速くし、全体の明るさを控えめにしました。こうすることで背景に夜らしい感じを出すことができましたが、全体をただ暗くしたのでは、モデルの顔も背景同様に暗くなってしまいます。そこで役に立つのがフラッシュです。強い光をカメラ側から発することにより、至近距離にいるモデルを鮮やかに写すことができた上、背景の夜らしい雰囲気も保つことができました。

これらの例は、どちらの方法が良いというものではありません。撮影者自身が求めるイメージの問題です。ただ、夜間や暗所での強いフラッシュを用いた撮影は、時に写真全体の雰囲気を壊しかねません。また、フラッシュを使わずにシャッター・スピードを長めに取った人物撮影には、人物ブレ(瞬きや体の揺れで、被写体がブレてしまうこと)を起こしやすいという欠点があります。こういったデメリットも考慮しつつ、イメージに合った撮影をしてみましょう。


(写真1) ISO100 / f値4.0 / シャッター・スピード1/2
背景のネオンがとても明るく十分な光を得られるので、
高画質が望めるISO感度100で撮影


(写真2) ISO100 / f値4.0 / シャッター・スピード1/4
フラッシュを使用。全体の明るさをマイナス1に設定し、
背景の明るさを写真1より暗くした。
そのため夜らしい雰囲気が出ている


 

前川 紀子: 滋賀県出身、1998年よりフリーランスに。以後フード専門カメラマンとして食の専門誌やレシピ本を中心に仕事をする。2007年に渡英、08年よりロンドン在住。
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