第32回 趣を変える食卓
~ホワイト・バランスを調整する(2)
ホワイト・バランスのメニュー上にある「太陽」や「日陰」、「蛍光灯」モードなどを手動で操作することにより、ときに写真の印象を強める効果が得られることに以前触れましたが(本コラム第30回を参照)、写真上で被写体の持つ色を忠実に再現したいときにも、この操作が重要になります。
最近では、ブログやホームページなどに、レストランで注文した料理やご自身が調理した品の写真を載せられている方をよく見かけます。料理を撮影される機会は、以前に比べて日常的に多くなってきているのではないでしょうか。
食べ物は暖色寄りの光の下で見るほうが、温かく、おいしそうに見えると言われています。多くのレストランで、蛍光灯ではなくキャンドルや白熱灯が使われていたり、レシピ・ブックなどの背景に青などの寒色系があまり使われなかったりするのは、こういった理由からでしょう。
しかしながら、料理がおいしく見える暖色の照明下で撮影を行うと、たとえ「AWB(オート・ホワイト・バランス)」に設定されていても、必要以上に赤味の強い写真に再現される傾向にあります。
写真1では「AWB」モードで撮影しています。「太陽光」モードで撮影するよりは赤味を軽減できますが、全体的にオレンジがかった色になっています。写真2では「白熱灯」モードに設定して撮影しました。写真1に比べて、器やサンドされたクリームなど、被写体の色がより忠実に再現されています。写真1では全体の温かい食卓の雰囲気は表現できていますが、料理を説明するときには、それぞれの色がきちんと再現されている写真2の方が向いていると言えるでしょう。
写真上で「何を伝えたいか」によって、メニューの操作を行い表現を変えていけるのも、カメラの醍醐味の一つです。
(写真1)
「AWB」モードで撮影。温かい雰囲気は出ているが、
全体的に赤味が強い
(写真2)
「白熱灯」モードで撮影。写真1に比べ、サンドされた
クリームの色が忠実に再現されている
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