第49回 大切な人を撮る
〜自然で印象的な人物写真~
渡英する際に持って来た荷物の中に、家族や友人の顔写真をまとめた自分だけの小さなアルバムを入れてきました。ときにその存在を思い出し、パラパラとページをめくるだけで、少し元気がないときなど癒しになってくれる、自分にとって大切なアルバムです。
毎日同じ風景を見ても、移りゆくわずかな変化には気が付きません。けれどしばらく経って見ると、大きな変化に驚かされることもしばしばです。特に子供の成長などはその典型的な例ですね。人の表情も、環境の移り変わりや時間の経過により変化していくような気がします。
写真は、見逃してしまいそうな程の、そんな小さな変化を記録できる道具です。身近な存在である友人、家族、彼、彼女を、日常的に撮影してみてはどうでしょうか。気の置けない人だからこそ、カメラを構えていることをあまり意識させずに、普段の自然な姿を記録できるのではないでしょうか。
ここで、人物撮影をするときのポイントを少し挙げてみたいと思います。「撮影しますよ」と声を掛けられたとたん、表情がこわばってしまう人も少なくないでしょう。そんなときは、一緒に歩いたり、話したりしながら動いて撮影することが、被写体になる人の緊張を解くのに役立ちます。その場合は、せっかく良い表情が撮れたのに画像がブレていた、などということがないよう、シャッター・スピードは速めに設定しておくといいでしょう。
次に背景ですが、露出(f値)を小さな値にして深度を浅くすることで、背景をぼかしたり、様々な要素がないシンプルな場所を選び、背景をできるだけ簡素化したりすることによって、見る人の関心を人物の表情に集めることができます。「連写モード」機能があるカメラなら、それを利用しても良いでしょう。連写することにより、良い表情をカメラに収められる確率が増えるはずです。
姪の写真は、渡英するときに持って来たアルバムの一枚。
湖岸にて背景を簡素化して撮影
カメラは、大切な人の変化を記録できる類稀な道具。
見返してみると、子供の成長の早さに驚かされる
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