#27 ハーブの香り高い優雅なソープ
しっかりした本のようなパッケージに入ったブロンリー社のせっけん「ハーバリウム・ゲスト・ソープス・セット」は、その見た目からしてすでに格調高い英国の香りが漂う。1943年に時の国王ジョージ6世から英国王室御用達のワラントを受け、以来ずっと王室に愛され続けている老舗ならではの商品といえるだろう。
だがそんなブロンリー社も、もともとは冒険好きで想像力豊かな一人の19歳の青年ジェームズ・ブロンリーによって始められた。香水への情熱を持っていたジェームズ青年は1883年に単身パリへ向かい、まず嗅覚を発達させる技術を研究。当時、香水作りは芸術形式の一つとしてもてはやされ、パリには各国からエリート調香師が集まりしのぎを削っていたのだ。翌年英国に戻ったジェームズは早速学んだスキルと知識を総動員し、「革新的」で「英国的」なトイレタリーの開発販売を進めた。ロンドン中心地ホルボーンの倉庫がその実験場だったという。同年に早くもブロンリー社を立ち上げたジェームズは、その後も後戻りをすることはなく、第一次世界大戦も乗り越えて同社は英国屈指のせっけんブランドの一つへ。やがてジェームズの死後に経営は実娘へと引き継がれ、創業137年の今も同社はトイレタリー・グッズでその名を知られている。
「ハーバリウム・ゲスト・ソープス・セット」にはアップルミント、カレンデュラ(キンセンカ)、ヘザー、ローズヒップ、ローワン・ベリー(セイヨウナナカマド)、タイムという英国のカントリーサイドを連想させる6種類の植物がふんだんに使われたせっけんが並ぶ。調香師によって始められたブランドということもあり、ハーブやベリーの香りはどれもシャープで強め。残り香も長く続くので、バスルーム中がいい香りに包まれること間違いない。せっけんのサイズは小さめなので、普段使いではなく、クリスマス・ギフトや大事なゲストが来たときなどに使うことをお勧めする。どれもトリプル・ミルド(triple milled)という三度練りの製法で作られている上、スウィート・アーモンド・オイル入りなので優しい洗い上りだ。